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アニメ・コミック

2014年7月 1日 (火)

「眠れる森の美女」 本当の主人公は誰?

アンジェリーナ・ジョリーが、近作の「マレヒィセント」を今月(2014年7月)に日本公開するとかで、先月から紹介されたり出演したりしている。
ディズニーアニメの「眠れる森の美女」を、魔女の側から捉え直したストーリーだそうだ。

これに伴って原作(?)の「眠れる森の美女」のDVD等も売り上げアップとなるのだろう。実に商売上手な会社だ。

しかし、ちょっと待って欲しい。このアニメ、明らかにチャイコフスキーのバレエ音楽「眠れる森の美女」を原作としているのだが、実は原作とは大きくかけ離れた改作であることを知ってからでも遅くないだろう。
私自身、幼い頃にディズニー・アニメで「眠れる森の美女」を知り、長じて音楽の組曲で幾つかの曲を知り、中に含まれる「ワルツ」にも親しんだ。アニメの中ではオーロラ姫が口ずさむ曲であり、組曲を聴いても、オーロラの曲だとばかり思っていた。

このため、AVが普及し、我が家にもハイファイビデオやLDを導入しチャイコフスキーの原曲のバレエを見る機会ができると、大いに面食らったものである。このワルツ、オーロラの曲なんかではない。16歳の誕生日に村人が踊る曲なのだが、失態を役人に咎められた者が、国王夫妻の許しを得て喜んで踊るのであって、国王夫妻への感謝の気持ちの方が強い。そして出てくるのはその場面だけであり、オーロラが歌うことは決してない。

そして、何度も見聴きしているうちに、一見オーロラが主人公だと思われるこの音楽だが、どうもそうではないのではないかと感じるようになっていった。

私が思うに、本当の主人公はリラの精である。

だって、こんなに魅力的な曲を与えられているのだ。組曲の序曲となっている曲の始めの方の騒がしい部分は魔女のテーマだが、続く殆どの部分、やさしい主題が出てきて発展して行く。これこそリラの精のテーマなのだ。

そして、リラの精のテーマは、全幕終了直前にも登場する。

また、「パノラマ」という、リラの精が王子を「眠れる森」に連れて行くシーンで流れる曲。私がこの組曲の中で一番好きな曲なのだが、スコアを見ながら打ち込んでいると、序奏の中のリラの精のテーマと、曲こそ違え、雰囲気は似ているし、驚くほどオーケストレーションが似ているのである。第2のリラの精のテーマと言っていいのではないか。

そして、演出にもよるのだろうが、私がLDで観ていたボリショイ劇場版。リラの精の方が明らかに美人で巧く、存在感がある。見ていて、殆ど惚れてしまった。
オーロラは下手だし、かなり残念な感じ。
LD版と同じと推定されるDVDをご紹介するので、機会があれば是非。このジャケットでフィーチャーしてるのはオーロラだが、私の持っていたLDのジャケットは、リラの精をフィーチャーしていて、「パノラマ」のシーンだった。

ディズニーアニメに出てくるリラの精は、おばあちゃんの姿をしているので、バレエを知った者としては相当な違和感を感じる。
ストーリーも、原作では100年の眠りにつくのだが、アニメでは僅か一夜だけ。

こうしてみると、ディズニーは何を考えてあんなアニメを世に出したのか疑問に思えてしまう。原作のストーリーのままでも良かったのに。幾つかの例が他にもあるのだが、彼は本当の処、クラシック音楽というものを分かっていなかったのではないだろうか。

・・・・とまあ、こういうアニメをモトとする映画、詰まる処、あくまでもアンジェリーナ・ジョリーを見に行く映画なのでしょうな。
いい加減な改作によるアニメを「原作」にすること自体、既に無意味だと私は考えるので。

尚、「眠れる森の美女」の組曲はチャイコフスキー自身が構成したものではないが、親しい人と構想は話し合っていて、「パノラマ」は含めるように主張していたそうだ。

さらに付言すると、このバレエの初演は現在のマリインスキー劇場だが、現在となっては、初演時の演出に近いのはボリショイ劇場だそうだ。
私はマリインスキー劇場のも見たが、物足りなさを感じた。下掲のDVDだ。表記は「キーロフバレエ」となっているが同じ団体。

2011年8月 9日 (火)

N響アワー 2011年8月7日 手塚治虫と音楽

8月のN響アワーは夏休み特集を4週にわたって放送するとのことで、その第1弾が手塚治虫と音楽の関わりを繙(ひもと)く内容。

手塚治虫が最後に仕事をしていたという、手塚プロダクションの埼玉県新座市のアニメ制作スタジオで、長女の手塚るみ子とのトークを交えながら進める形が採られた。

まずツカミとして、JR新座駅で西村朗が手塚治虫の、また黒崎アナがリボンの騎士のコスプレで登場し番組が始められた。意外と黒崎アナのリボンの騎士は似合っていると思った。この姿を見ると、結構美人なのかも知れないと思った。

手塚治虫の遺作(未完)となった「ルードヴィッヒ・B」(ベートーヴェンの若い頃の伝記)のナマ原稿が広げられたままの机があり、またそれを書いていたときにかけていたベートーヴェンの交響曲第8番のレコードがプレーヤーに載ったままとなっているオーディオシステムがあった。

驚いたのは、西村がそのレコードの演奏者を覗きこむと、「ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団」だったことである。

このレコードは、リーダーズ・ダイジェストという会社が、レコードの通販事業に進出した頃にベートーヴェンの交響曲全集として発売した中の1枚である。
私がクラシックを本格的聴き始めた頃に親に買ってもらったのだが、当時周りの同級生のクラシックファンの間での評判は散々なもので、ひどく落込んだものだった。レコード誌でも酷評されていた。ベートーヴェンというとフルトヴェングラーだったし、グラモフォンレーベルで出始めていたカラヤンだったからだ。

ところが、この稿を書くためにウェブをあたっていたら、さらに驚いたのだが、この演奏、一部の人からは大きな支持を得ていて、最近再発もされたということだ。8番とは違う曲だがユーチューブにあったので聴いてみると、何たる高速! こんな速い演奏は聴いたことがない(いや、何度もレイボヴィッツで聴いていたのだが忘れてしまっていた)。しかし、今聴き直すと、十分「アリ」かも知れない。
ただ、再発されたCDは入手困難らしいので、ここには掲げない。

さて、今回案内役ともなった手塚るみ子は、手塚治虫の長女で、ビジュアリストという肩書きで活動している手塚眞の妹。また、二女手塚チイ子の姉である。眞とるみ子と手塚治虫の子育て日記みたいな漫画「マコとルミとチイ」がある。
また、長じた娘が、偉大な父をもった娘の立場から書いた本もある。

この辺りの話から、子どもたちをよく洋楽の映画につれていってくれた、という話になり、「サウンド・オブ・ミュージック」や「ウェストサイド物語」なども映画館で見た由。

そこでさらに驚いたのは、ジュリー・アンドリュースがプレヴィンの指揮でN響との共演でサウンド・オブ・ミュージックを歌った録画が紹介されたことである。これは素晴しいの一言に尽きる。そんな録画があったとは!何時の頃の演奏かメモし損なったが、プレヴィンも若かったから、かなり前のものだろう。それにしても、映画で聴いた声に比べて殆ど変わりなく、まさにシビレた。

他の曲目等の紹介を書くのはやめるが、私がどうしても分からないことの1つに、手塚治虫が、漫画を書くとき常に音楽、とくにクラシック音楽を掛けていたということである。
こればっかりはどうしても分からない。私など、音楽がかかっていたら気が散って原稿など書けたものではないから。
ただ、会社勤めをしていたとき、デザイン関係の部門を覗くと、常に音楽がかかっていた。
だから、絵画関係の仕事には、音楽が必要なのかも知れない、とも思う。

反面、シニカルな見方をすれば、音楽がよく分かっていないから、音楽をかけながら仕事ができる・・・ということかも知れない、とも思うのである。或いは、深く聴き取ろうとしない、表面的な聴き方しかできないから、それを掛けながら仕事ができる、ということなのか。

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