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2015年4月13日 (月)

マーラー 交響曲第10番 インバル盤とハーディング盤

この曲については、私の「題名のない音楽館」内の「マーラー 交響曲第10番」で書いた。
そのページにも引用したが、曲を思い出して頂くため、冒頭39小節分をDTMで作ってみた。

だが、2014年5月に、1楽章のみのバーンスタイン盤を聴いて、認めてもこの楽章だけだし、マーラーの交響曲は、やはり9番までか・・・と自分の立場を再確認しつつあった。

処が、インバルの指揮でたまたまこの曲が放送されていたのを第5楽章の途中から聴く機会があり、改めて全曲盤を入手して聴いてみると、これが中々のものだったのである。

インバルって、ブルックナーの交響曲第4番の異版(第3楽章が全く別の曲になっている版)とか第8番の異版(第1楽章の最後の部分がffとなっている版)などを録音していたりして、若干キワモノ視する向きもありそうだが、どうして演奏はマトモ中のマトモ。N響を指揮してショスタコーヴィチの10番を演奏したときのものはかなりの名演だったし、録画保存してある。

で、上記の全曲盤を聴いてみると、これはひょっとすると、私の第10番に対する考え方を変えた方がいいのかも知れない・・・と思えてきたのである。

そんな折、「てんしな?日々」さんが10番の全曲盤を聴き直し始めたという記事を書いておられるのに気がついた。
中でもハーディング盤が最もお薦めと受け取ったので、早速入手し聴いてみると、これが凄かったのだ。

最初から、もの凄いテンション、もの凄い緊張感をもって始まる。それが、曲の最後まで続くのである。これだと、第1楽章のみ単独で演奏されたものと全曲版の中の第1楽章とを区別する必要もなくなったのではないだろうか。「てんしな?日々」さんが言及されている通り、今後の標準的な演奏として記憶されることとなるかも知れない。
極めて高い完成度を持った演奏である。
先のページでラトル盤を聴いて云々の記載を行ったが、イマイチ納得できなかった理由も、演奏の完成度、曲への思い入れの違いに由来するのかも知れない。

とは言え、音楽自体、オーケストレーションの薄さもあって、昔のハリウッド映画を彷彿とさせる部分もあり、聴きようによっては、安っぽいと思えなくもない。まあこれは、「風と共に去りぬ」の音楽を作曲したマックス・スタイナーが、マーラーに作曲を師事したということだから、ある意味当然なのかも知れない。

処で、「てんしな?日々」さんが色々な人の盤を挙げておられる中でハーディング盤を私が選んだのは、最もお薦めであるように見えたのとは他に、最近彼を、最も重要な指揮者の1人だと思えるようになってきているからである。

これまでにも、2011年6月23日の記事「ハーディング指揮 マーラー室内管弦楽団 ブラームス」と、2012年3月11日の記事「震災の日に演奏したマーラー」で触れている。

そして、上記のインバル盤のライナーノートを読んで気がついたのだが、私は極めて重要な点を見逃していた。作曲家の遺作を後に残された人が補筆・完成させることについて私は全般的に否定する立場なのだが、この曲は、マーラーによって、全曲の略式総譜で完成しており、また、第1楽章と第2楽章そして第3楽章の30小節分は総譜草稿(浄書譜の1段階前)まで進んでいたという事実である。
そして、クックが努力を重ね、演奏者が好んで採りあげるようになってきていてるという事実である。
これだと、あとの人が勝手に作ったものとは、かなり状況が異なる。

上記のハーディングも、マーラーのこの交響曲に、早くから取り組んできているそうだ。

余談だか、「てんしな?日々」さんのページで、この曲を「マーラーの『幻想交響曲』」と例えておられる。
かなり当たっているかとも思うが、大きく違う点がある。
まず、ベルリオーズの幻想交響曲は、振られた腹いせに、彼女を殺し(第4楽章)、地獄で醜い姿にしてしまっている(第5楽章)ことだ。何度聴いても、もうヤケクソである。メチャクチャである。そんな女性と、後には結婚するに至るのだから皮肉だが・・・。

それに対し、マーラーの10番は、アルマが不倫に走っていることを知り、それでも尚愛し続けるしかないマーラーの苦しみを反映していることである。

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