題名のない音楽会 2015年3月8日
先週は「東北から響け」の第1弾だったが、今週はその第2弾としての位置づけ。
冨田勲のイーハトーヴ交響曲をシエナウィンドオーケストラで演奏するというもの。
ハッキリ言って、つまらなかった。初音ミクは出さないわ、語り部はつくわ、太鼓の踊りはでるわで、最後まで聴くのは止めた。
冨田勲も登場していたから、作曲者としては公認なのかも知れないが、余りこうした形態の演奏は、今後やらない方がいいと思う。
結果、リフマニノフの交響曲第2番を引用した部分だけが強く印象付けられた形となった。
確か、こんなにつまらない曲ではなかったと記憶していたので、2012年11月23日の世界初演時の録画を視聴し直した(2013年5月4日 Eテレで放送)。
記憶は正しかった。
まず、初音ミクが加わることで、幻想的な世界が益々奥行きを増す。ウィンドオーケストラよりもやはり管弦楽の方が表現力で上回るようで、聴き応えがあった。
このときの演奏を収録したブルーレイも出ているから、見たことのない人は是非。CDも出ているが、ここはやはり映像付きで。
それと、イーハトーヴという名称だが、この日をはじめ、関連する番組の全てで、謎の言葉としてしか説明がなく、私もそのまま受け止めていたのだ。
しかし、この日の番組を見て、最近書評を書いた本のことを思い出した。
その中に、このイーハトーヴについての解釈が載っている。
エスペラント語で、「イーハト」は岩手、「オーヴォ」は卵の意味だというのである。宮沢賢治がエスペランティストだったのは、その分野では有名な話だそうで、これは大いに可能性がありそうだ。
つまり、「イーハト・オーヴォ」と解するわけだ。
生前に宮沢賢治がこのことの答えを曖昧にしたままだったというのも、エスペラントが、当時は一種の危険思想であり、ヴォルシェヴィキとか無政府主義と中ば同一視されていたことを考慮すると、公言するのを避けたと考えてよさそうだ。
まあ、「岩手の卵」となった処で謎には違いないのだが、まだ、「よく分からないが賢治の造語」とだけ説明するよりは、少しでも近づけたという感じはすると思う。
また、彼の詩や童話の類も、エスペラントに理想を見いだした人だったことを前提に読み直してみると、新しい発見があるかも知れない。
番組の評点は上記より、高く付けることはできない。3.5。
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