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2014年6月

2014年6月30日 (月)

12音技法がクラシックを衰退させたとの意見に全面賛同

久々に「題なし」のページを更新したことをお知らせしたが、比較的大きく記事を修正のは、マーラーの交響曲第10番である。
迂闊(うかつ)にも、通常演奏される、第1楽章のみの演奏(アダージオのみの演奏)とちゃんと聴き比べせずに「全楽章の補筆版」について論じていたのである。

勿論、アダージオのみの演奏は何度か聴いているし、「全楽章の補筆版」の第1楽章を論じることによって、アダージオのみの作品として残されたものを論ずることも可能だと思っていた。
しかし、よく考えるとアダージオのみ残されたと考えての演奏と、全5楽章の中の第1楽章としての演奏とでは、曲のコンセプトがガラリと変わってしまうはずだ。聴く側も然りである。

で、他の殆どのマーラーの交響曲でリアァレンスにしている「バーンスタイン指揮NYフィル」盤だが、この第10番についてはちゃんと聴いたことがなかった。レコード時代からCD時代になっても、手許に置いたことがなかったのだ。

で、現在でも入手可能なこの盤で聴くと、これが実に凄い演奏なのである。
改めて、衝撃を覚えた。これを聴いてしまうと、全楽章の補筆「完成」版なんて、何の価値もないように思えてしまう。
そう考え始めたときに記事の修正を行った。

しかし、「やっぱり、全楽章の版もありか・・・」と、またまた考えを変えたのは、インバル指揮フランクフルト放送響の演奏に接してしまったためだ。ラトル盤より古い演奏かと思うが、むしろこの方が優れた演奏だと思った。
早速手許に取り寄せたのだが、中々通して聴く気になれず放置中だ。自分で聴いていないのに恐縮だが、一応挙げておく。その気になって全曲通して聴いた暁には、この第10番の記事の再修正もあるかも知れない。

さて、本題はここから。

記事中にも書いたが、第9番あたりから、調性がかなり曖昧になる部分が現れていて、10番となると殆ど崩壊していると言ってもいいだろう。

しかし、楽章の始めの方だけ聴いても分かるが、その中でこれだけ豊かな響きを出すことを実現している。だからこそ、単一楽章の曲としても、ずっと演奏されてきているのではないだろうか。演奏例は39小節めまで。

http://tkdainashi.music.coocan.jp/mahler/mahler_sym10.mp3

換言すると、調性が崩壊しそうな処に立脚しつつも、あくまでもマーラーがそうした響きを求めてのことであり、ギリギリ「調性」というものに踏み留まりつつ、自分の描いている「美」を追究しているのが分かる。

ドビュッシーの「牧神の午後」なども、調性が曖昧な曲で20世紀音楽の幕開けを告げる曲となったと言われることが多いのだが、それでも、理屈先行で無理矢理こんな響きを創ったのではなく、ドビュッシー゛、彼が指向する「美」を追究してのことだろう。

http://tkdainashi.music.coocan.jp/debussy/a_lapres_midi_dun_faune.mp3

それが、何をトチ狂ったか、マーラーの後継者たちは、「12音技法」と称する悪魔的な理屈をデッチ上げ、普通の人が聴いてまず楽しむことは不可能という作品を並べたてる方向に暴走していった。こんな曲、分かると思う方がおかしい。
内的な欲求に基づかない作曲なんて、結局は彼らに本来の音楽的才能がなかったからに他ならないのではないか。

こうしたことは大分前から考えていたのだが、吉松隆にようなプロの作曲家にもこうしたことを考える人がいると分かって確信となり、最近その確信を強くしたのしDTM制作を通じてである。

DTM制作で、ホルンやトランペットといった移調楽器を正しく入力できるようになり、以前、誤って入力していたもの(全体に何度かズレたり、微妙に何カ所か2度または半音ズレが生じていた)と比べると、響きの豊かさが格段に違っていったことを経験したたろである。
何しろ、調性が曖昧だったり崩壊しかけている曲だと、半音とか2度とかズレて入力してしまっていても、私の耳では正しいのか正しくんいのか判別し難いものがあったのだ。しかし、正しく入力して行くと、そんな中でも格段に豊かな音になっていったのである。

先人たちが、いかに苦労して豊かな音楽を創っていったかということに思いを馳せるならば、12音技法なるものは、単にクラシック音楽を破壊しただけの愚挙だった。
そんなものを、また「分かったフリ」で支持する輩が出るものだから、多くの人にとってクラシック音楽は縁遠い存在となって行き、20世紀において、クラシック音楽が衰退して行ったのだ、と今では断言したい。

ちなみに、蛇足と言っては余りにも失礼なのだが、モーツァルトの「40番」の第4楽章。この始めの処は「12音技法の先駆」などと言われることがあるのだが、「言われたらそうかも」と思うだけのことだ。自然な音楽の流れであり、意図的に無理矢理作った感じが全くない。モーツァルトが感じた「美」を追究したら「こんなんもありましたよ」というだけのことだ。

http://tkdainashi.music.coocan.jp/mozalt/sym40_4thMvt.mp3

2014年6月29日 (日)

DTMによるmp3制作放浪記

元々は、マーラーの交響曲に関する記事に譜例を追加したい、という処から始まった。

順序通り、交響曲第1番からということで、さて何で譜例を作成するかということで、色々とウェブであたっていると、楽譜専用のフォントが配布されていたり、手書であれば写譜用のペンなども売られている。何れも試してはみたが、どうにもキレイな仕上がりにはならない。

そこで、これも無償配布されているFinale Note Padなるものを見つけ、それで書くと中々いい。
しかし、このFinale Note Padに演奏機能がついていると分かり、ついでに演奏もさせてみると、余りにもプアな音なのでガッカリした。1つの楽器のメロディーだけで、これではマーラーの豊かなサウンドを伝えたり論じたりすることは到底不可能だと分かった。

それで、Finale Note Padの上位ソフトはPrintMusicだと知ったので迷わず購入。
それなりの音が出るので、記事に次々に埋め込んで行ったのである。

しかし、中期以降の曲となるとスコアの段数がやたら多くなり、PrintMusicでは段数に制限があって、どうしようかと悩んでいたとき、finaleを紹介するページで幾つかのデモ曲を演奏しているのを聴くと、余りに素晴らしいので驚き、殆ど衝動買いに近い状態で手許に置くこととした。

やり出すと面白くなり、他の作曲家についても作成したくなり、やがて専用のmp3収蔵庫を持つこととなった。「題なし音蔵館」がそれである。

元々オーケストラスコアは何冊か持っていて、それが役に立つことともなった。

ただ、演奏させると音量が小さめであるのが大きな欠点。

そこで、一念発起し、少しでも大きめの音になるように修正していった。
また、ホルンとトランペットを中心に、移調設定を間違って入力してあったので、併せて訂正。全ての作曲家の全ての演奏例を見なおし、現在の状態に辿り着いた。
奇しくも、Macでパソコンを始めた頃にDTMをやっていて、それがチャイコフスキーの「くるみ割り人形」。で、新たに、既に記事化したものにmp3を埋め込むこととした始まりがマーラーで、とくに第1番。

ここで、上記のページに行くのが面倒な方が殆どだと思うので、第1番の第4楽章の第2主題を。恥ずかしながら、私がかつて、青春時代に何度も何度も泣きながら聴いた部分である。これが単旋律では殆ど何も伝えることができないと思い、finaleに辿り着いた次第だ。

http://tkdainashi.music.coocan.jp/mahler/mahler_sym1_4thMvt_2nd.mp3

ただ、修正し続けていると、とうしても、作成時期によって音量なども変わっていっしまうのには困った。また、修正しても次々に手を入れたくなる箇所が出てきたりする。キリがない。
従って、マーラーを再修正した時点で、一旦キリとした。

結論として、DTMをやるなら、初めから本格的なものを導入されることをオススメする。
finaleの最新バージョンを紹介しておきたい。併せて、このfinale、ちょっと詳しい参考書がないと中々使いこなせないので、参考書も。

プロも使うソフトとしては、イラストレータやフォトショップほどは高くないと思う(安くもないけど)。

2014年6月28日 (土)

1ヵ月以上遅れてのお知らせ。「題なし」ホームページ更新しています

5月26日付けで「題なし」ホームページを更新しています。

2013年には更新がありませんでしたので、かなり久しぶりの更新です。

すぐにでもお知らせしたかったのですが、書類整理や筆記具検討(放浪)などに時間を使ってしまい、ズルズル後ろに行ってしまいました。
主としてマーラーの記事に関することで、音源の更新や記事の改訂などです。

ついでに、交響曲第5番の第4楽章について、楽章すべての演奏例を入れました。
ここでは、この音源のみ引用し、紹介に替えることとします。

http://tkdainashi.music.coocan.jp/mahler/mahlerSym5_4.mp3

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