題名のない音楽会 2012年7月1日 オーケストラにおすすめ!実演付き楽器行商人
オーケストラで使われている楽器は、200年ほど殆ど変らずに続いている。もっと新しい楽器を使ってみてはどうか、ということで、「富山の薬売り」ならぬ「楽器の行商人」に扮した青島広志が色々な楽器を持ち込んで提案し、実際にオーケストラの中で演奏しようという企画。
次の曲が、それぞれ代用楽器を使用して演奏された。
- 篳篥(ひちりき)をオーボエの代用で「白鳥の湖」の「情景」
- リコーダをフルートの代用、鍵盤ハーモニカをクラリネットの代用として「田園」第1楽章冒頭
- カズー(こんな楽器があるとは知らなかった)をトランペットの代用でメンデルスゾーンの「結婚行進曲」
- 大正琴をチェンバロの代用で、バッハの「管弦楽組曲第2番」から「ポロネーズ」
- とくに何の代用とは言わなかったと記憶するが、ミュージカルソウで「熊蜂の飛行」
カズーはオケの団員、リコーダと鍵盤ハーモニカは小学生による演奏だったが、篳篥と大正琴とミュージカルソウはそれぞれの楽器の専門家を呼ぶという、力の入れようで、本格的な試演と言っていいだろう。
とくにミュージカルソウはサキタハヂメで(ご存じだろうか。『ノコギリ音楽』の世界的な奏者だ)、久しぶりに聴いたが、「熊蜂の飛行」を超絶技巧で弾ききったのには驚いた。
肝心の、オーケストラ内で使うとしての適正だが、篳篥をオーボエの代用で、というのは全くダメ。ダブルリードで鳴らすという点では共通しているのだが、篳篥では音程が不安定すぎた。
カズーをトランペットの代用で、というのは如何せんトランペットとしての音量が確保できず、これも失敗。
ところが、「田園」でフルートの代用でリコーダ、クラリネットの代用で鍵盤ハーモニカは大変よく合ったし、むしろ余りにも違和感がなくて驚いたほど。
そして、チェンバロの代用で大正琴、というのも、佐渡は減価に否定したが、私はよく合ったと思うし、むしろ違った味が出たようにも思った。
佐渡曰く、本来は全て不適。オーケストラの楽器がずっと変っていないというのはスゴイことだと。
私もほぼ同感だが、2点だけ。
まず、「田園」でフルートの代用でリコーダ、クラリネットの代用で鍵盤ハーモニカというのが合っているように感じるのは、いわば当然のこと。音が似ているし、代用楽器とて西洋音楽の音階で作られているのだから。
佐渡が否定したが私が合っていて良しとした、チェンバロの代用で大正琴というのも、ある意味で合っていると聞こえて当然だ。どちらも弦を弾(はじ)いて音を出すし、大正琴というものは古来の琴とは異なって、西洋音楽の音階で調弦するのだから。
本来は、この辺りまで突っ込んで説明すべき処だったと考える。
尚、サキタハヂメの話だったと思うが、ミュージックソウというのは作曲家にとっても不思議な魅力があるらしく、ハチャトリアンとか黛敏郎が、この楽器(木を切る鋸とは異なり、レッキとした楽器なのだ)のために曲を作っていた由。
中々そんな曲を演奏しても客は集まらないと思うし、歌謡曲とか演歌を鳴らして・・・と見える現状の路線がむしろ正しいのかとは思うが、もっとこうした曲にも範囲を広げて、ミュージックソウの可能性を、サキタハヂメには追求してもらいたいとも感じた。
さて、今回採り上げられた曲の中で、「結婚行進曲」だけはDTMを制作してあるので、引用しておきたい。誰でも知っている曲だと思うが、ワーグナー作曲のものとは違い、華やかなメンデルスゾーン作曲の方である。ここでは全曲を引用する。以外と、全曲聴いたことのある人は少ないかも知れないと思うので。
冒頭から始まって、要所要所でトランペットが印象的なフレーズを鳴らす。これがキッチリ出ないというのは致命的で、やはりカズーなどという代用楽器には荷が重すぎだ。
ところで、このトランペットのフレーズだが、私は聴いているうちに「これはベートーヴェンの第5交響曲のパロディだ」と感じるようになった。あながち間違いではないかも。これ、本来は妖精の世界の・・・言い替えれば魔界の・・・結婚式に鳴る曲だから。
http://tkdainashi.music.coocan.jp/mendelssohn/hochzeitsmarsch.mp3
そして、これを含めた「劇付随音楽 真夏の夜の夢」からの抜粋盤で、私のリファレンスは、クレンペラー指揮の演奏である。ただ、新品は入手しにくいかも知れない。
尚、盤によっては「夏の夜の夢」と表記されていることがあるが、同じ意味である。最近では単に「夏の夜の夢」と表記することが多いようだ。
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