らららクラシック 2012年7月15日 萩原麻未を何と言う使い方!
らららクラシックなどという番組、全く見たくないのだが、この時間帯に放送される他の局の番組、とくに民放関係が、余りにもくだらないものが殆どなので、ついチラ見や途中から見る、ということをしてしまうことがある。
そして・・・・結局ハラが立って仕方なくなるのである。
確か、音楽の都パリ、というテーマだったのか、バリで活躍した作曲家の作品を幾つか採り上げて紹介する、というもの。
途中からなので、されまでに何をやつていたのかは、よく分からないのだが、ゲストが萩原麻未(まみ)である、ということで、ジュネーブ国際コンクールで日本人で初めて優勝したときの映像がホンの一瞬流れた。
そう言えばそんなニュースが新聞に載っていたような記憶があり、その一瞬の演奏で結構聴く価値がありそうだ・・・・として見ることにしたのだ。ラヴェルのP協だった。
で、パーヴォ・ヤルヴィが2010年からパリ管の音楽監督を務めているということで、「ペトルーシュカ」の第1部が流れた。これは名演だった。
しかし、幾ら第1部だけと言っても、余りというか殆ど曲の間に切れ目がないその曲、第1部が終った箇所なのか、ブツッと切ってしまったのは呆れた。せめてフェードアウトするとか、工夫して然るべきだろうに。こんなことも配慮できないのか・・・この時点で早くもハラがたち始める。
で、お目当ての萩原麻未だが、いつまで立っても演奏する様子がない。
かといって、パリでの生活や音楽の現場の様子を深く突っ込んで聞き出す様子もない。
結局、最後近くになって、演奏したのは「月の光」1曲だけ。
・・・って、散々待たせておいて「月の光」はないだろう。
見ていなかった嫁さんにこれを説明したら、「何それ」と、私と同様に呆れていた。
私たちの感覚が間違っていないことを確認するため、全音のピアノピースで難易度を確認した。
ご存じの方も多いと思うが、該社のピアノピースは、易しいレベルから順にAからFまでのランク付けが為されている。
「月の光」はCとされている。中級だ。ピアノを学び始めて何年か立つと、トライしたくなるレベルだ。要はアマチュアでも、少しずつ頑張って練習すれば弾けないことはないレベルだ。同じドビュッシーで同様にCなのは、「2つのアラベスク」や「亜麻色の髪の乙女」など。
「沈める寺」だとEで、上級。「水の反映」はFで、上級の上。
ラヴェルでは、「亡き王女のためのパヴァーヌ」のピアノ版がCだ。
この曲だ。
http://tkdainashi.music.coocan.jp/ravel/pavane_piano.mp3
何もプロだから難しいのを弾かせてみろ、と言っているのではない。ゲストに呼んで、たった1曲だけ弾かせて、それがCレベルで、しかも余り情感を込めて演奏しなくてもよい「月の光」だけというのはないだろう、と言っているのだ。
早い話、「月の光」ならば、加羽沢美濃が弾いたっていいのだ。または、加羽沢美濃と萩原麻未が弾き比べてもいい。
つまり、萩原麻未がどんなピアニストなのか、もっと端的に分かりやすい例になり得る曲にすべきだと言っているのだ。
ラヴェルになるが、上掲の「亡き王女」など、結構どんな傾向の弾き方をするピアニストなのか、分かりやすい曲だと思う。
ドビュッシーなら、上に示した例の中でも「沈める寺」もいいだろうし。
こんな放送をするから、見る気になれないのだ。