マチネシンフォニー 井上道義指揮 大フィル 2012年4月18日
掲題の組み合わせによる演奏会について。
曲目は、ヨゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」とホルストの「惑星」。
何れも、以前から大好きな曲でありながらナマで聴いたことがなかった。井上道義の指揮なら私は信頼できると考えているし、午後2時開演というのも足を運び易かった。
このプログラムであれば、「天体の音楽」と「惑星」の間に休憩を入れるというが普通だろうが、今回は宇宙学者の松井・東大名誉教授(現・千葉工業大学惑星探査研究センター所長)を招き、井上とのトークをプレトークに入れ、さらに「惑星」は「水星」が終った処で休憩とし、「木星」を始める前に後半のプレトークを入れるという、少し変った順序だった。井上が続けてシリーズ化している「マチネ・シンフォニー」シリーズならではの構成である。
この松井教授は、あの「はやぶさ」の後継機の開発にも関わっている人だそうで、宇宙全般から太陽系に至るまで、井上からの素朴な質問に答える形で楽しく興味深いトークを展開してくれた。
で、演奏だが、実に良かったという一言に尽きる。
そして、とくに「惑星」だが、ナマで聴いて・・・ということはナマで見て、という意味でも・・・本当に良かった。
2階席だったので、オケのメンバーが入る前に、その配置を一望できたのだが、実に巨大な編成であり、それはもちろん「惑星」のための配置なので、まずは大いに期待が膨らんだ。
で・・・どうもすぐに記事を書かなかったので、当日行かれていた「りんどうのつぶやき」さんのページを参考にさせて頂いたら、「天体の音楽」と、「惑星」の間には休みがなく続いていたようなのだが、すると、最初からフルメンバーが揃って始めたのか、それともトークを入れているうちにメンバーを増やしたのか・・・。何れにせよ、「天体の音楽」から始まり、「火星」「金星」「水星」まで進んで休憩となった。
「天体の音楽」。
これ、サントリー・オールドのCMに使われていたことがあり・・・てなことを記憶している人はトシが分かるというものだ・・・CMで聴いて好きになり、やがて曲名と結びつけることができ、何度も聴いているうちにどんどん好きになっていった、という曲である。
曲の初めから第1ワルツまでは、こんな感じ。
http://tkdainashi.music.coocan.jp/JosefStruss/sphaerenklaenge_intro_to1stWalz.mp3
曲の初めから、いきなり広大・深遠な宇宙空間に連れ出されたような感じの音が鳴り、たちまち聴く者を惹きつける。実にツカミがいい。そして、ヨゼフ・シュトラウスの才能の凄さを感じざるを得ない。ここを聴く度に、ヨゼフって、ヨハンよりも遙かに優れた才能を持っていたのだ、と私は改めて思うのだ。
その序奏からごく自然に第1ワルツに滑り込むアタリも、凄いと思う。
別の意味で凄いと思ったのは、上掲の通りDTMを制作し「ウィンナ・ワルツ」と指定すると、結構、ウィンナワルツらしく演奏すること。改めて、finale を使っていて良かったと思った。
その点、大フィルはどうだったか、本当の処はよく分からない。私のリズム感なんて所詮その程度なのだが、何か違っていたような・・・。
で、「惑星」。
実の処、このコンサートの日から今日の記事執筆まで間が空いてしまった大きな理由のひとつが、この日の演奏を聴いて益々好きになり、ブログの記事をふくらませる代わりに既掲載の記事・・・「題名のない音楽館」内の「惑星」・・・に手を加える方を選んだからである。DTMによる演奏例を幾つか入れ、文章も書き直した。
DTMは「木星」の、例の有名な部分だけのつもりが、どんどん欲が出ていって、何カ所も示すことになったのである。ここには「木星」のその例の箇所のみ入れておきたい。
http://tkdainashi.music.coocan.jp/holst/jupiter_bars193to233.mp3
大編成による凄まじい音響、随所に入るオルガンの地響きなど、ナマでないと体験できないことを十二分に堪能した。
しかし、1点だけ難を言うが、「海王星」で聴こえる舞台裏の女声の声が、合唱ではない5名ほどのメンバーで演奏されたことである。
何か声が薄いな、深みがないな、と思っていたら、最後のメンバー紹介で5人だけ出てきた。そもそも舞台裏・・・チケットオフィスの窓口があるので立ち寄ることが多い・・・で目にしていた合唱グループ用の名札が、少ししかなかったので多分そうなのだろう。
アンコールとしては「マ・メール・ロア」から「妖精の園」が演奏された。
さて例によって私のリファレンス。
「天体の音楽」は幾つかあるが、カラヤンが1987年にニューイヤーコンサートで振ったときのものがベストだと思っている。但し、現在は新品の入手は困難かも知れない。
また「惑星」は、上記の記事にも書いたが、これもカラヤンのもの、しかも若い頃にウィーンフィルを振ったときのものに尽きる。こちらは安価になっているので、騙されたと思って、ぜひ聴いてみて欲しい。私はこの盤で聴き馴染んでいるのだ。そして、これ以上の演奏に中々接し得ていない。
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