N響特別演奏会2012年2月27日 ラフマニノフ2番とラプソディ
2月27日の掲題のコンサートは、N響の大阪スペシャル公演で、NHK大阪ホールでなく、ザ・シンフォニーホールで行われた。みずほ銀行の協賛によるもの。
曲目がラフマニノフの交響曲第2番とパガニーニ・ラプソディということと、N響がNHK大阪ホールで演奏したのは聴いたことがあるが、ザ・シンフォニーホールでは聴いたことがなかったので出かけたのである。指揮は尾高忠明。
実は不安が半分ほどあった。パガニーニ・ラプソディは大好きな曲でホームページにも載せているほどなのだが(「題名のない音楽館」内の「パガニーニ・ラプソディ」のページ)、それだけに思い入れも強く、なかなか「これ」という演奏に廻り逢えないでいる。
まして、ピアノが小曽根真というので・・・。まあ、交響曲第2番をナマで聴いたことがない、というのでなければ、パスしたかも知れない。
小曽根真はジャズを軸足に置き、クラシックのコンサートにも出演する機会が増えつつある人で、N響アワーなんかで聴いたことがあると記憶するし、最近では「名曲探偵アマデウス 2011年9月24日放送」で、「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏したのを聴いたことがある。
その記事にも書いたが、「ラプソディ・イン・ブルー」はガーシュウィンがクラシック音楽の入り口に立つために書いた曲であり、自分でもピアノが弾けたから、とくにピアノパートはかなり書き込んである。そしてクラシック音楽として書いたのだから、ジャズピアニストが勝手に料理するのは間違っていると私は考えている。まあそれでも「アマデウス」の演奏例として弾いたときのものは、ジャズのアドリブへの脱線は最小限に留まったので「まし」だったのだが。
それで、まさかラフマニノフでは脱線するまいなーと不安だったのである。
そして、不安は、不幸にも的中してしまった。初めのうちほどおとなしくしていて「おっ、まともに演奏する気でいるのか」と見守っていたら、曲が進むにつれて少しずつ脱線して行き、脱線の度合いが大きくなり、遂には例の第18変奏を、キッチリと終らずに要らないアドリブを付け加えて長く引っ張るという愚挙をやらかした。
あの第18変奏は、いつまでもメロディーの素晴らしさに浸っていたい処を断固として打ち切って次に進むからこそ価値が大きいのだ。しかも、全体にわたって然りなのだが、とくにその後の部分から終りにかけて、全然弾けていないのである! 音の粒立ちがなく、隣の音どうしが繋がってしまっているのだ。
こんな演奏は絶対に認めない。ラフマニノフこそ、ジャズではなくクラシック音楽だ。ちゃんと弾けもしないのにアドリブで遊ばんでほしい。オモチャにしないでもらいたい。
また、こんな演奏で拍手する人がいるんだ、これが。この演奏が気に入らなかった人は私だけではないはず(周りから聞こえてくるヒソヒソ話しで分かる)。なのに殆どの人が拍手する。私は断固拍手を拒否した。
アンコールとして1曲披露した。
何を演奏しているのか初めは分からなかったが、協奏曲第2番の第2テーマを、ジャズ風にしたものだと気がついた。まあ、これは許せんでもない。一応これは拍手しておいてやった。
不満が残ったまま前半を終え、後半が一番聴きたかった第2交響曲。
この曲、ピアノ協奏曲の2番とか3番のあとに聴き始めたこともあり、何か二つの協奏曲の影を引きずるというか、ピアノ協奏曲だったらもっと巧く書けただろうに、という思いのすることが多かった。
しかしその後何度か聴いているうちに、これはこれで、独特の魅力のあることが分かってきたのである。一種、ハマる要素がある。
そして、ナマで聴いて良かったと思ったのは、この曲が・・・当たり前のことなのだが・・・大編成のオケを駆使し、チャイコフスキーを彷彿とさせる凄まじい音響を伴う曲だった、ということである。音響だけではない。チャィコフスキーの曲に多く出て来そうな音型も処々に登場する。
ラフマニノフは20世紀の作曲家としては古風な作風を採っていったが、反面、チャイコフスキーという偉大な先達の影に脅かされ続けた人だった、と言うこともできそうだ、と改めて思った。
尾高の指揮も中々良かった。というか、最近安心して聴ける指揮者の1人だと私は考えていて、その期待を裏切らない出来だったと思う。
さて、「ラプソディ」については先に挙げたページに詳しく書いてあるので、ここでは交響曲の、私のリファレンス盤について。
余り幅広く聴いては来なかったのだが、プレヴィン盤を挙げておく。
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