小林愛実 ピアノリサイタル 2012年3月24日 於ザ・シンフォニーホール
ザ・シンフォニーホールから毎月パンフレットが届くようにしていて、そのパンフレットに「アルゲリッチやキーシンも絶賛」と書いてあるピアニストがいて、気になっていたのだが、新聞広告にも出たので思い切って出かけた。
「キーシンが絶賛」とだけ書いてあったら、行かなかっただろうが、「アルゲリッチも絶賛」とあったので、アルゲリッチの感性を信じたわけだ。
それが掲題のコンサートである。小林愛実。1995年9月生れだそうなので、当年とって16歳。
前半がオール・ショパンで、スケルツォの1番と2番、ノクターン20番遺作、そしてバラードの1番。
後半がプロコフィエフの3番のソナタとベートーヴェンの「熱情」。
そしてアンコールに、ショパンの(多分)マズルカの1曲と、シューマン「子供の情景」のアタマ3曲、さらに「トロイメライ」。
行って良かった。一言で「素晴しい」の一語に尽きる。
プロコフィエフの3番のソナタ、私は初めて聴いたし、それなりに面白く、また比較的聴きやすい曲だと思った。
その他は、私にとって何度も何度も聴いてきた曲である。他の人々も程度の差こそあれ、同じようなものだったと思う。
そして、弾く側にとっても、色々なピアニストが色々な演奏をしてきた曲だ。それだけに、他の人とは違う個性を出したいと思ったりもして、少しずつ、またはかなり変えて演奏する人も少なくない。
小林愛実の演奏は、そうした、奇を衒(てら)ったような処は全くなく、言わば正統的な演奏だという印象だった。そして、ショパンもベートーヴェンも、「何といい曲・・・」と感じさせるパワーがあった。1本1本の指に集中力を凝集し、完璧にコントールしているのも良く分かった。
これはスゴイ・・・と思いながら休憩中にプログラムを読み返すと、既に錚々たる経歴の持ち主である。
そして、何と「題名のない音楽会」に出場したことがある、と書いてあるではないか。
帰宅して手許のメモを確認すると、2011年7月10日の回に出ていて、8月3日付けの記事としてアップしているではないか。道理で「アルゲリッチも絶賛」という触れ込みに、何か見覚えがあると思ったのだ。そして、その記事に「番組の企画はつまらなかったが、小林愛実というピアニストを知ったのは大きな収穫」と書いてある。
物忘れをするようになったと少しガックリする一方、だからどんな記事をいつアップしたかはメモしておくものだ、と改めて思った(2009年の9月から実行している)。
もうこれで小林愛実、忘れることはないだろう。上記の記事にも書いた通り、注目して行きたい。
さて、このコンサート、久しぶりにスタインウェイの音に浸ることができたコンサートでもあった。ヤマハも決して悪くないが、やはりスタインウェイは違う。音の輝き、音の粒建ちが違う。前から4列目の席だったので、まさに「堪能した」の一語。
そして小林愛実、既にメジャーレーベルからデビューしている。
DVD付きのがデビュー盤。CDのみのものが、この日のプログラムの内容にほぼ近いものだ。私もそのうち手許に置くことにしたい。
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