題名のない音楽会 2012年2月26日 ベートーヴェンの真実
「恋多きドケチ!? これが本当のベートーヴェン」と題し、人々が通常抱いているベートーヴェンのイメージと、実際はどうだったかを対比する内容。
説明されていたことの殆どは、私は既に知っていることだったが、オケを実際に鳴らして幾つかの試みが為されたのは興味深かった。
1つめは、ベートーヴェンが自らメトロノーム記号によるテンポ指定をしたが(メトロノームを発明したメルツェルがベートーヴェンと同時代の人)、それが以下にデタラメだったかという話があり、交響曲第9番の第3楽章を、通常行われているのと近いテンポと、ベートーヴェンのメトロノーム指定による「四分音符=60」で比べてみたもの。
通常行われているテンポの倍近く速いテンポとなるのだが、私は何の違和感も感じなかった。
ゲストとして池辺晉一郎が出たのだが、彼によるとこれは、ベートーヴェンがピアノで作曲したことと関係があるらしい。ピアノで独りで演奏して作った曲を、実際にオーケストラでやると、ピアノのときより遅めにした方が良いと思えることがあるそうだ。池辺自身もそんな経験があるとか。
また、オーケストラにトロンボーンとピッコロを初めて導入した、ということから、実際にそれを使った、交響曲第5番の第4楽章のアタマを、その2つの楽器を入れた形と入れない形で聴き比べをさせてくれた。これも良かった。DTMだとこんなことはたやすいことだが、実際のオケで聴いてみる意味は大きい。
幾つかの交響曲の、各々一部ずつを採り上げ、最後のシメは第7交響曲第1楽章の抜粋となった。
この第7交響曲、なぜか良く聴かれるようになった。標題なしの曲としては異例のことかも知れない。やはり全編を貫いて流れる躍動感やリズムが親しみやすいということなのだろう。
そして私は、この曲を聴くたびに、昔、音楽仲間と「ベートーヴェンはロック、チャイコフスキーは演歌」と言い合っていたことを思い出すのである。
ここ何回か、良い企画が続いている。
穿ちすぎかも知れないが、「N響アワー廃止」の影響ではないだろうか。若干アカデミックなことにまで突っ込んだ解説が為されるのは、番組のレベルアップに繋がるし、少しでも黛敏郎時代の雰囲気を思い起こさせてくれる。
N響アワーが死ぬことになった今、益々頑張ってもらいたい。
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