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2012年2月24日 (金)

名曲探偵アマデウス 2012年2月22日 フランク ヴァイオリンソナタ

記憶喪失した男がクライアント。アタマの中で鳴り続けている曲のメロディーを口ずさむと、探偵が「それは、フランクのヴァイオリンソナタ」だとして、曲を聴き進めながら「謎?解き」を進めて行く、という内容。

その、並行した「謎?解き」のブロセスは省略する。
概ね、下記のような内容が説明された。

  • 第1楽章の始まりは、イ長調だが調性が曖昧で、夢と現実の間を浮遊した感じになる。属九の和音を多用し、調性が次々に変る。
  • 第2楽章の不安な感じは、半音階とシンコペーションの多用による。
  • ここで第2楽章で第1楽章の主題が出るが、次の楽章にも、最終楽章にも出る。「循環形式」で、フランクの作風。楽章どうしを有機的に結びつけ、曲全体に統一感を与える。
  • 第3楽章は、フランク自身によって「レシタティーボとアリア」と名付けられた楽章。ヴァイオリンとピアノが会話するように進んで行く。音楽の切れ目ごとににフェルマータが置かれ、2つの楽器が比較的自由なテンポで演奏する。それは、アウンの呼吸で進めねばならず、二人の奏者の信頼関係が重要となる。
  • 第4楽章は2つの楽器によるカノン形式で始まる。ここで鳴らされる音は、喜びに満ちたものだが、千住真理子曰く、「切なさも感じる」

私がこの曲を通して聴いたのは、そんなに昔のことではない。
しかし今、もしこの曲をまだ聴いていない人がいたら、本当に幸せな人だとさえ思う。こんなに素晴しいメロディーに溢れたヴァイオリンソナタを聴く喜びが、まだ残っているのだから。

演奏例と一部のコメントを担当した千住真理子も良かった。

実は、私は千住真理子ってヘタだなあ、と何度も思ったことがある。
しかし、この曲の演奏例(第1楽章と第4楽章の、それぞれ抜粋)は良かった。彼女が元々ヴァイオリニストになりたい、と思うようなったキッカケとなった曲だそうで、今も大好きな曲だとか。

まあ、そうした思い入れによる部分もあるかと思うが、ひょっとすると曲が余りにも素晴しいので、「百難を隠して」しまったのかも知れない(アラが見つけにくくなる、ということ)。

結局クライアントは、親友と二人でアルプス登山に挑み、途中で事故に遭い、ザイルの上側にクライアント、下側に親友という状態で宙づりになった。そのとき、親友が自分でザイルを切断し、落下していった。呆然となったクライアントは、親友の思いもあり単独で登山を続けて頂上を征服するが、その後意識を失った。その親友が好んでいた曲が、フランクのヴァイオリンソナタというわけだ。
これで終りかと思ったら、征服した山の頂上近くにしか咲いていない花を彼は置き土産にしていて、ひょっとして、彼は実際に生死の境をさまよっていて、さまよっている途中に探偵事務所を訪ねたのか・・・?? というオチになる。

さて、フランクの作風の特徴である「循環形式」だが、かねてから私は、分かりにくく実態を表わしていない用語だと思っている。
これ、前の楽章の主題が戻ってくる、または帰ってくることを言うのだから、「回帰形式」とでも称した方が、分かりやすいし実態に合うと思うのだ。てっきり「誤訳」ではないか、さもなくば、この業界にもある「権威ぶって難しい用語をわざわざ使う」という弊によるものではないか、と思ったこともある。

しかし、手許の辞典によると英語でcyclic formと称し、ドイツ語でもフランス語でも同じ主旨の言葉が書いてある。だから「誤訳」というわけではないようだ。

この曲、私の好きな曲となったが、キッカケは、我らが五嶋みどりの演奏による。そして、今回のコメントと演奏例に敬意を表し、千住真理子の演奏も併せて挙げておく。

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