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2012年2月25日 (土)

名曲探偵アマデウス 2012年2月15日 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番

探偵事務所に就職を希望して来た、就活中の女子大生がクライアント。ミステリー研究部に所属。好きな曲は、チャイコフスキーのこの曲、と言うので、探偵が喜び勇んで「面接試験」と称し、曲の分析を担当させる。

冒頭に出てくるテーマは余りにも有名だが、第1楽章全665小節の内107小節にも及ぶこのテーマ、後には全く出て来ない。言わば、これがこの曲の一番の謎である。

番組内で進められた「謎?解き」と、並行して進められた分析の推移は省略する。
また今回の分に関しては、演奏例がアルゲリッチによる、という贅沢なものであり、初演の至る経緯などの説明など、知っていることが殆どだったので、解説の概要も省略。
第1楽章について、主題が幾つ出てきて、一つ目はウクライナの民謡を思い出させるメロディーだとか、その間の推移部がどうだとかいう説明もあったが、それ以上は敢えて書き留める気にはならなかった。

ただ、最終稿に至るまでにさらに作曲者自身が改訂を加え、出版されるまで14年かかったというのは参考になった。その最も著しい改訂が第1楽章冒頭のピアノが、現状版に比べて狭い音域で、叩きつけるような和音ではなくアルペジオだったという点である。
これを、初版と現在の稿について弾き分けて聴かせてくれたのが、小山実稚恵。そのまま演奏例にも登場して良さそうな布陣で、何ともゼイタクなことである。

第3楽章でも音域の拡大という改訂が一部にあるそうで、これは目で見て分かるようにしてくれていた。

また、小山曰く、この曲によってピアノという楽器の位置づけか、ピアニストにとっても聴衆にとっても一段と大きなものとなった。
確かに、とくにラフマニノフに典型的だが、このチャイコフスキーの曲がなかったら、今の姿で残されてはいないだろうという、その後のピアノ協奏曲が幾つもありそうだ。

さて、アルゲリッチによる演奏例が実に凄かったので、DTMで鳴らすなど、大いに気がひけるのだが、良く知られたと初めに書いた、この曲の冒頭部はこんな感じである。

http://tkdainashi.music.coocan.jp/tschaikowsky/klavierkonzert%201_1st_opening.mp3

ここに出てくる、最初の一音目の和音の叩きつけからして、アルゲリッチの凄さったらないのである。テレビで見ていても、「腹に響く」感じがした。
東京芸大のオケで指揮はパッパーノ。サスガ芸大のオケだ。なまじの学生オケとはレベルが違った。また、独奏者だけでなく、指揮者もゼタイクな人々を呼んで来れるものだ。

さて、結局この女子学生は、探偵が「是非とも」とOKするのを断り、事務所を後にする。あまり客が来ずにヒマそうだし、テーブルの掃除も行き届いていないなど、将来性がないと見越してしまったためである。

さて、出版までに14年かかったということだが、もう1点、私がかねてから疑問に思っていることがある。
第2楽章冒頭の、フルートが主題を吹き、ピアノがそれに続くという部分である。
この曲を古くから知っている人、こんなふうではなかっただろうか。

http://tkdainashi.music.coocan.jp/tschaikowsky/klavierkonzert%201_2nd_opening_oldver.mp3

フルートで奏されたのと全く同じメロディーがピアノにも登場するというわけで、ごく自然な流れだ。このメロディーは、この楽章を通じて何度も出てくるが、この形でしか出て来ない。
実際、私はこの形で聴き馴染んだのである。

しかし、何時の頃だったか、ある時点で、最初のフルートだけ、1つだけ音を変えて吹かれるようになった。上に例示したものと、フルートの音1つたけが違う状態だ。(こんなことをシロートがパッと示せるのも、DTMの良さだ)

http://tkdainashi.music.coocan.jp/tschaikowsky/klavierkonzert%201_2nd_opening.mp3

何でこういうことになったのか。以前から持っている音楽の友社のスコアは、フルートが同じメロディーで登場する版。この機会に全音のものを買ってみたが、改訂の詳細は記載されているのに、その改訂に関する説明はなかった。音楽之友社の新版には書いてあるのかも知れないが、2冊も新版を持つほどゼイタクはできないし。

まあ色々とあって、結局は「チャイコフスキーがこう書いたのだから」というのが定説となり、現在演奏されている形になったのだろう。しかし、なぜここだけ違う音にするのか、どう考えても分からない。

さて、この曲というと、やはりアルゲリッチだ。何種類か出ているが、代表的なものを2種類ほど挙げておきたい。
アバト指揮ベルリン・フィルとの、言わば「定番」とされているものと、コンドラシン指揮による、殆ど伝説化されているライブだ。後者は確かレコードで出たとき、オビに「ピアノが燃えた」なんて宣伝文句が書かれていたはずだ(燃やしちゃいかんだろう)。小朝がネタにしていた。新品の入手は困難かも知れないが聴く価値あり。。

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