N響アワー 2011年10月9日 アンスネスによるラフマニノフ3番
アンスネスをソリストに呼んで、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番が、ブロムシュテットの指揮で演奏された。
今回は、良い意味で裏切られたと思う。
実に良かったのである。
このピアノ協奏曲、私のリファレンスはアルゲリッチによるもので、未だにこの演奏を越えるものを聴いたことがないからだ。
何れもFMで聴いたりN響アワーなどで見たりした範囲ではあるが、2点ばかり例を挙げると、まずラン・ランの演奏。
テンポは良いのだが余りにも軽いものだった。彼の、演奏しているときの表情がいつも楽しそうなので、それがアダとなっている可能性はあるが、それを差し置いても、深みに欠ける演奏だったと言ってよい。
小山実稚恵の演奏は、第2楽章から第3楽章に進む部分でテンポが遅くなってしまったし、他の箇所でも、ややこしそうな部分ではテンポが落ちるように聞こえた。リストが得意な彼女も、ラフマニノフは難しいのか。
事実、この曲のスコアを入手して眺めていると、何と言うピアノパートだろう ! 私はピアノを正式に教わったことはないが、途轍もなく難しそうだということは分かる。
で、これまで、アルゲリッチを超える演奏には出会わなかったし、指揮がブロムシュテットということで余り期待せずに聴き始めたのだが、これが予想外に良かったのである。「名演」と言ってよいだろうし、ひょっとすると、シーズンの最後に毎年N響アワーで特集するのだが、「ベストソリスト」となるかも知れない、とまで思った。
事実、ラフマニノフの2番を弾いた年に、ベストソリスト賞を取ったそうだ。
演奏前に彼がこの曲を、「恐怖感と底知れぬ暗さのある曲」と評していたのも実に適切だと思ったし、西村も、「その説明で尽くされているが・・・」としながらも、自ら第1楽章冒頭と第3楽章の主題を自分で弾いて見せ!! 「明」と「暗」の対比を説明していた。
・・・って感嘆符を2個も付けて感心したのだが、上掲のスコアを眺めたら、彼が弾いた箇所は、曲中、決して難しい箇所ではないことが分かった。とくに第1楽章冒頭は、両手とも単音で、オクターブでユニゾンを取る箇所だ。
で、演奏だが、アンスネスが自ら説明した内容に違(たが)いのない内容だった。アルゲリッチを超えるとまでは思わないが、名演。
西村が最後に、「左手の親指による表現が良かった」と言っていたのは参考になった。
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