N響アワー 2011年10月16日熊川哲也 創作のヒミツ
この日の放送は、バレエダンサーの熊川哲也をゲストに迎え、彼のバレエの創作と音楽の関わりについて話を聞きながら進めて行くという趣向。
率直に言って、予告の段階から、どうせこれはロクなものにならないだろうと予想し、余り見る気がしなかった。
番組が始まってみると、熊川という人がクラシック音楽をよく聴き、それなりに勉強はしている人だと分かり、少しだけ期待を持つようになりつつ聴き進めたのだが・・・。
まずは「白鳥の湖」から「情景」とワルツをスヴェトラーノフの指揮で。
これは余りにも遅い演奏で、スヴェトラーノフがこの曲を踊るための音楽とは捉えないで演奏しているのか? と思わせるものだった。
熊川も、「これでは踊れない」と言っていて、いい指摘をする、と一旦は感心した。
続いて、熊川が「パッヘルベルのカノン」をバレエにしたことがある、と話し、バロック音楽というつながりから、バッハ作曲 ウェーベルン編曲の「リチェルカータ。
この曲はバッハの「音楽の捧げ物」を原曲とするものだが、何度か聴いているが、一度も「よい」と思ったことがない。原曲の持つ力というか、活き活きした感じを完全に削(そ)いでしまっていて、バッハの魅力を再発見するようなではないと思うからだ。
ここまではまだしも、熊川が、ベートーヴェンの「第九」全曲に振り付けを付けたという話になり、ああ、やっぱり・・・と嘆息をつくハメになった。
こういうことをするからバレエから振り付け師となった人はイヤなんだ。
何で彼らは何の見境もなく、バレエなどに合いそうもない曲に踊りを付けたがるのか。合うわけがないのである。「第九」は合唱こそ付いているが、どこまでも抽象的な音楽である。また、音楽の力のスゴい曲でもある。そんな音楽が鳴っている処で踊りなど踊られたら、気が散って仕方がないとうものだ。
事実、振り付けたという一部を音楽とともにチラと流したが、とても評価できるものではない。
こういうことをするだろう、と予想していたから、ロクなことにならないだろうと予想し、気が進まなかったのである。
そして、そのつながりから・・・として、第九の第4楽章の後半を、東日本大震災のチャリティコンサートで演奏した、メータによる指揮のものを流した。
で、これが「こんな演奏だったのか」と感じたのである。あのときは、名演だと思った演奏なのだが・・・。
あのときは日本中が異常な雰囲気に呑まれ、私も全てが虚しくなって中々何も聴く気が起こらなかったときに聴いたから「名演」と思ってしまったのかも知れない。いざ平常心に近くなってみると、演奏そのものは大したものではなかったのかも知れない。
というわけで、殆ど収穫はなかった、というのが今回の放送だった。
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