最近のトラックバック

« 名曲探偵アマデウス 2011年12月21日 さすらい人幻想曲 | トップページ | 名曲探偵アマデウス 2011年9月17日 ショパン 前奏曲 »

2012年1月27日 (金)

名曲探偵アマデウス 2012年1月25日 ツィゴイネルワイゼン

ネット通販会社の、アラフォー独身女性社長がクライアント。最近取引先の男性が好きになった。しかし、どうしても告白できない。
乗っていたタクシーのドライバにそんな話をしていたら、丁度かかっていた曲を示し、「この曲を聴いてみたらいい」と奨められた・・・という相談。

その曲がツィゴイネルワイゼンというわけである。
相談の「謎(?)」と、それを解き明かして行くプロセスは省略する。

この曲、冒頭から「ツカミ」がいい。これについて、「5123の魔術」と言うものがあるそうで(本当かなぁ)、ソドレミで始まる曲のことだが、「ソ」がハ短調の属音だから、主音である「ド」に行くとスンナリ行くし、続けて音階的に「レ」「ミ」と続くことで、シッカリした形になるのだそうだ。

ここで、同じソドレミで始まる音楽の例として、ベートーヴェンの「悲愴シナタ」の第3楽章を例に挙げて聴かせてくれたのはナルホドと思ったが、続けて「北の宿」を挙げたのは愉快だった。こんな方法、私は大好きだ。

また、管弦楽で高い音で始まり、続けてヴァイオリンが低い音で始めるのは、落差による効果を狙っていること、主題そのものがロマの音楽の音階を使っていて、ちょっとした引っかかりを感じさせ、「哀愁に満ちた」と表現されたりすることに繋がっている、といったことが説明された。ロマの音階は、通常の西洋音楽の「和声的短音階」の「ファ」の音を半音上げる音階。これも、実際に双方の音階を鳴らして聞かせてくれた。

さて、この曲は大きく3部構成となっていて、第1部の遅いテンポの部分を「ラッシュー」、第3部の速い部分を「フリッシュ」と称し、ロマの音楽である「チャールダッシュ」の形式を使っていること、全体を愛の曲とすると、第1部では嘆き、第2部では愛の深まり、第3部は愛の爆発・・・ということが描かれていると言っていた。
アホな。そこまで意味づけせずとも楽しめるのが、この曲ではないだろうか。

第3部について、サラサーテは手が小さかったので、それを逆手にとって、ヴァイオリンのハイポジションを多用いたこと、それによって指を動かす範囲を少なくすると共に、低めの音の弦で高い音を鳴らすことによる独特の効果を上げた、ということ。そして、左手で指を押さえる間に左手でピチィカートを弾く、という奏法が、超絶テクニックとして作曲当時に大評判を取ったこと、などの話があり、興味深かった。

ハイポジションによって指の動く範囲が・・・というのは、例えばある弦の長さの半分の処で押さえると、1オクターブ高い音が出る。半分の長さとなった弦の上で音階などをやろうとすると、指の動きが半分で済む、といったほどの意味だ。

相談が解決しクライアントが帰ったあと、助手が片付けをしていると、所長の、タクシードライバーとしての名刺が見つかった。ここの探偵に相談に来るよう、仕組んでいたらしい・・・というのがエピソード。

さて、上記に、余り深読みせずとも・・・と書いたが、反面私はこの曲に艶(つや)っぽいものを感じざるを得ない。それは殆どエロティックと言ってもいいほどである。
それもあって、私は、この曲、女性ヴァイオリニストが弾くべき曲だと思っている。
番組内での演奏は、円城寺指揮の新日フィル、独奏は加藤知子。初めて聴くヴァイオリニストだったが、中々良かった。

私のリファレンスはムターによるもの。「スペイン交響曲」とのカップリング。
しかし、女性が弾くのを・・・と書いたが、ハイフェッツの演奏は手許に置いておいて損はないだろう。やりたい放題という趣きのハイフェッツの演奏は、この曲が名人芸を見せて聴かせる曲だった、ということを改めて思い起こさせる。今では多くのヴァイオリニストが普通に弾くけど。

さて、番組の内容について、「深読みせんでも・・・」の他に2点ばかりイチャモンを付けておく。

まず、ジプシーのことを「ロマ」と呼ぶのは、やめてもらいたい。「ジプシー」が差別用語だなんて、いつ、誰が決めたのか。そもそも、今回の曲の名前「ツィゴイネルワイゼン」はドイツ語の名前であり、Zigeunerweisen と書き、「ジプシーの歌」の意味である。「ジプシー」と言えば通じるのに、「ロマ」だと、何だか馬とロバの交配種である「ラマ」みたいで仕方がない。この曲だけでなく、「ジプシーの」という意味を曲名に持つ曲は沢山ある。用語を勝手に自主(?)規制することにより、何だか分からない用語が残ってしまい、従来の文化との断絶が生じてしまう。「ロマの音楽」だなんて言うくらいなら、ドイツ語の題名だって変えんといかん。

もう1つ。
そんなわけで、ここからは「ジプシー」と書くが、ジプシー音楽のチャールダッシユの形式。私が学校で教わったときは、遅い部分を「ラッサン」、速い部分を「フリスカ」と習った。この辺りの用語は、どのように整理されているのだろうか。
そして、贅沢な望みかとは思うが、リストの「ハンガリー舞曲集」など、この形式の代表的な曲についても言及して欲しかった。

« 名曲探偵アマデウス 2011年12月21日 さすらい人幻想曲 | トップページ | 名曲探偵アマデウス 2011年9月17日 ショパン 前奏曲 »

作曲家、演奏家」カテゴリの記事

作品」カテゴリの記事

音楽番組」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 名曲探偵アマデウス 2012年1月25日 ツィゴイネルワイゼン:

« 名曲探偵アマデウス 2011年12月21日 さすらい人幻想曲 | トップページ | 名曲探偵アマデウス 2011年9月17日 ショパン 前奏曲 »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

書評 資料室

Amazonアソシエイト

無料ブログはココログ