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2012年1月28日 (土)

名曲探偵アマデウス 2011年9月17日 ショパン 前奏曲

探偵の、学生時代の先輩で、当時何かあったらしいことをほのめかす女流ミステリー作家がクライアント。新しいミステリー小説のネタをくれるようにせがんで来た。

ネタとなりそうな「謎?」と、それに関するネタの提案プロセスは省略する。

探偵が選んだ曲は、ショパンの前奏曲集。
24の小品から成る曲集で、ショパンがサンドと逃避行の最中に作曲された。

幾つかのサワリを仲道郁代が弾きながら説明していたことを、書き留めておきたい。

  • 第1曲 これは助手の発言だが「きれいな曲。何か楽しいことが始まりそう」
  • しかし第2曲では、短調なのに調性のぼやけた曲となる。仲道曰く「不気味な不安感をさそう曲。現代音楽にまで通じるような左手の伴奏。ショパンを、センチメンタルな、ピアノの詩人・・・というイメージで捉えていると、外れる」
  • 第4曲  仲道曰く、「これが、この曲集の中で一番好きな曲。エスプレッシーボ(感情を込めて)の表記。左手の、半音ずつ変って行く和音は、微妙な心の揺れを表しているみたい」
  • 第15曲「雨だれ」 中間部の、変ニ長調(フラット5つ)から嬰ハ短調(シャープ4つ)で、仲道曰く「ここでガラッと『色』が変る感じ。圧迫感または恐怖感を覚える」。野本先生曰く「中間部の、短調の部分の方が長い。また、全曲の中で、ここで初めてff が出てくる。
    仲道曰く「ラ♭=ソ♯ の音の連続は、ショパンの心の中の音だと思う。この音が終りの方で一瞬途切れる。ここは、いつもどう弾くか迷っている。未だに答えは出せていない。答えは言葉では表せない。音でしか語れない。ピアノの音の中に真実を見つけようとした人がショパン」
  • なぜ「前奏曲集」なのか。仲道曰く、「音楽の『かけら』のようなものの集まり。それが24曲集まることによって、ショパンの内的宇宙を構成した」
    探偵曰く「『俳句集』のようなもの。余分なものを一切含まない」
  • 第24曲 最も低い「レ」の音で終る。探偵曰く「なぜそうしのかも謎」

まあ私としては殆ど周知のことであるが、仲道が「雨だれ」の中間部について、「恐怖」といった表現をしたのはサスガと思った。
私も実は、母に勧められてショパンを聴き始めた頃、どうと言うことのない綺麗な音楽・・・とだけ思っていたのだが、この「雨だれ」の曲の全体を通じて執拗に鳴り続ける「ラ♭=ソ♯」の音、そして中間部の、それが強調され高まって行くプロセスに、寂しさや恐ろしさを感じるようになってから、漸く、ショパンって、結構凄いのかも知れないと思うようになった

私にとっての「ショパン『開眼』は、まさにこの曲の、とくに中間部によって為されたのだ。「雨だれ」という愛称はショパンが付けたものではないらしいし、また、ショパンとサンドとの関係が作曲当時、どんな具合だったかは定かでない。
しかし、「サンドが外出してしまい、独り残されたショパンが、降り始めた雨のポタポタと落ちる音を聴きながら、このままサンドが帰って来ないのではないか、また、サンドとの関係はいつまでも続けられるのだろうかという不安を抱き始め、やがてそれが大きな感情のうねりになって行き・・・というエピソードは、どう聴いても感じざるを得ない。それがこの曲だ。

だから、サンドとショパンの関係がどうであったかということと関係なくとも、何か押さえがたい不安に駆られ、やがてそれが何かを失ってしまうような恐怖に変って行く・・・というのが演奏する際のコンセプトであるべきだと思う。
こう思うようになってから、演奏によっては、この曲で中間部に差し掛かるあたりから、涙を禁じ得なくなることもある。

仲道による演奏例は、1番と4番と15番だったが、ここでは仲道が一番すきと言っていたことに敬意を表し、4番。そして15番をDTMで鳴らしてみたので、ご参考まで。

まず4番。これは短いので全曲。

http://tkdainashi.music.coocan.jp/chopin/prelude4.mp3

そして15番「雨だれ」。これは中間部の始めまで。同じ音が執拗につきまとう感じ、そのことにより不安な気持が高まって行くのを少しでも再現できたかどうか。

http://tkdainashi.music.coocan.jp/chopin/prelude15_opening.mp3

この番組内での発言を待つまでもなく、私のリファレンス盤は、仲道郁代による演奏である。上記の「演奏によっては涙を禁じ得なく・・・という『雨だれ』の演奏は、これによって聴くことができる。

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