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2012年1月25日 (水)

名曲探偵アマデウス 2011年11月30日 動物の謝肉祭

ある学園の理事長がクライアント。
創立30周年を記念する行事に、亡母が託した音楽を鳴らしたいと思っていたが、それをかけて見ると、生徒も職員も続々倒れてしまった。もうこんな曲をかけたくないが、せめて母の思いを探って欲しい、という依頼。

その曲は、サン・サーンスの「動物の謝肉祭」。
母である前・理事長は、伸び伸びと楽しく学ばせる校風を自慢していたが、クライアントである現・理事長は進学率の向上にヤッキになってガリ勉させる校風に変えた。こうした教育方針の違いがもたらした「事件」らしい。
解決に至るプロセスと楽曲分析が並行して進むが、その辺りの推移は省略する。

まず、この曲、一見楽しく美しいが、作曲者が「毒」をこめて当時の音楽の状況をからかって見せている、といったことや、組曲最初の「序奏とライオンの行進」では「空虚五度(3度の音を欠く5度。調性が分からず、不安定)」を使い、当時の音楽界が薄っぺらであることを批判している、と言ったことが説明される。

「亀」では、当時のパリで人気絶頂だったオッフェンバックをからかい、「象」では、作曲者にとって大先輩にあたり、革新的な作風を評価もしていたベルリオーズをパロディにし、「ピアニスト」ではサン・サーンス自身「初心者のように不器用に弾くこと」と譜面で指示していて、当時、テクニックばかり叩き込むピアノ教育を批判し・・・など、ピックアップした曲ごとに何を彼がからかい、批判しているかを述べて行く。
批判の対象は「化石」によって作曲者自身にも向けられ、「やがて自分の曲も、古くなり、忘れられてしまうだろう」と言っているように聞こえる、とされる。ただ反面、「古くなっても、化石のように永遠に残る」という主張とも取れる・・・とも。

千住明がゲストコメンテーターとして登場し、「象」の譜面ヅラがキレイで、譜面ヅラがきれいな曲は、曲自体もキレイなことが多い、などと作曲家らしいコメントをしていた。

ただ、「白鳥」について、チェロの中音域を使っているのだが、それはチェロにとっては大変に弾きづらい音域だとのことで、「死にそうになりながら、足をもがいて、懸命に生きている白鳥を表す」とコメントしたのには、呆れた。
私は全く賛同できない。千住という人、しばしばピント外れな、深読みしすぎたコメントを発するのだ。

「白鳥」が、死にそうな白鳥を表しているって、この曲をバレエ化した「瀕死の白鳥」に影響されているのではないか? そもそも私は、この曲をバレエ化したこと自体、全く価値を認めない立場だ。バレエのために作られた音楽って、数え切れないほど存在するのに、なぜバレエのための曲ではないものに要らん振り付けをして遊ぶ必要があるのか。
この「白鳥」なんて、
「チェロの中音域を使って独特の美しさを醸し出している。『動物の謝肉祭』の中で最も美しい曲だが、なぜこうした曲を入れたのかは、謎である」てな程度の説明でいいじゃないか。

そもそも、「動物の謝肉祭」という組曲自体、余り詳細な分析や解釈をするのは避けるべきではないだろうか。「亀」を聴かせる前に、原曲である、オッフェンバックの「天国と地獄」序曲を聴かせる、といったことはあって然るべきだろうが・・・。その程度には知らないと十分に楽しめないだろうから。
しかし、元々は、そうしたことは十分よく知った人たちのためだけに作曲された曲であるはずなのだ。だからこそ、生前、サン・サーンスはこの曲の出版を認めなかったのであるはずだ。

気心の知れた、ホンの仲間ウチだけの小さな演奏会で、演奏され、「亀」とか「象」とかの曲になったとき、みんな腹を抱えて笑い転げたのではないだろうか。

だから楽曲分析をある程度やるのはいいが・・・基の曲を知っておく、といった程度に・・・余り深入りすべきではないと思うのである。
それとは別に、明かな引用によってモトの曲が分かるものに挟まって、ショパンを表しているとされる「水族館」は、明確なモトの曲は分からないのだが、いかにもショパン的なサウンドで、ショパンだと分かる。こうした、作曲技法の妙については、是非とも触れるべきだったと思う。

私にとってのリファレンス盤というのはとくにないが、ラベック姉妹が2代のピアノを弾くという贅沢な盤は、聴いておいていいだろう。
ただ、新品の入手は困難かも知れないので、アルゲリッチ、マイスキー、クレーメルの3人が揃った、もっと贅沢な盤、さらにもう1枚、「交響曲第3番」との組み合わせでおトクな、デュトア盤を併せて挙げておく。

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