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2012年1月 5日 (木)

大フィル 青少年のためのコンサート2011

BDのハードディスクが一杯になったのでディスクに吐き出すか消去するかを考えながら編集・整理していたが、ちょっと迷っていたのが掲題のコンサートの番組だった。
全曲ではないが、抜粋で、2011年11月23日(水)にNHK総合テレビで放送していたものである。公演は2011年9月1日(木) 於NHK大阪ホール。
指揮はもちろん大植英次。そしてヴァイオリンのソロが、現役医大生でもある石上真由子。

放送されたのは「フィンランディア」、グランドキャニオンから「山道を行く」、ラヴェルの「ツィガーヌ」、ドヴォルザークの「謝肉祭」である。
公演では、この他に「ダフニスとクロエ 第2組曲」とベートーヴェンの6番から第2楽章が演奏されたらしい。

で、この録画なのだが、1曲目の「フィンランディア」の初めの処だけ聴いて、即、ディスクに保存すると決めた。
名演だったのだ。

この番組、実は、放送されたあとで、すぐに1度聴いていた。
1度聴いてすぐに判断がつかなかったのは、大植英次と大フィルの組み合わせならもっと大規模な曲の放送を録っておきたかったし、この「青少年のための・・・」は大植英次が会場の聴衆とやりとりしたり、司会として入った山本美希アナの声が演奏にカブったりする編集で放送されていたからである。
「青少年の・・・」というタイトルだが別に聴衆の年齢は問わないので、一昨年だったか、一度聴きに行ったことがあるので、そのときの様子は十分に想像できるのだ。
とは言え、聴衆は「青少年」が殆どというのも事実で、幾つかの学校の吹奏楽部の人たちを招待している他、一般の聴衆も学生で1000円、一般が3000円と格安である。

ところが、年末年始カウントダウンという番組で、金聖響の指揮による東フィルの演奏で、「フィンランディア」をやったのが余りにもつまらなかったのが、まだ耳に残っていたので、それとの対比もあり、また大阪府に続いて大阪市までもが、大フィルへの助成金を打ち切る可能性が出てきているという背景もあり、「これは残しておくべき」と判断したのである。

震災復興ないし応援という意味で、なぜか「フィンランディア」を音楽番組で聴く機会が多い2011年だったのだが、どれ1つ曲の持つ力を引き出すことのできた演奏はなかった。
極めつきが金聖響の演奏、というわけである。

で、改めて大植-大フィルの組み合わせから出てくる音の素晴らしさを再認識したのである。
冒頭、地を這うような処から次第に大きなエネギーを溜めて行き、遂に爆発し、やがて、遠くに希望の光を夢見て・・・という感じこそが、この曲のコンセプトであり、価値なのではないか。ロシアの圧政下にあったフィンランドの、苦しみと将来への希望を託した曲なのだから。
だからこそ、シベリウスが国民的作曲家となり、この曲が「第2の国歌」となったのだから。

そんなコンセプトを忘れ去ったような演奏の、何と多かったことか。
大植-大フィルの演奏は、その点で、十二分に満足できるものだった。

そして、ヴァイオリンの石上真由子の「ツィガーヌ」。
カワイイし、演奏は面白かったし、医学生・・・「天は二物を与えず」というコトワザは絶対ウソだと思う例の典型だ。
もっと違う曲で、機会があったら聴いてみたい。さしずめ、プロコフィエフなんか、ふさわしいのではないだろうか。

さて、問題は、市からの助成金がカットされたら、このオケはどうなるのだろうか、という点である。
オケとして存続することはできても、サウンドが維持できるかどうか、一流の演奏家が客演できるだろうか。

直接関わっているわけでもないのに心配しても仕方のないことだが、私個人にとっても、阪神間や奈良辺りまでに住んでいるクラシックファンにとっても、気が気でないのだ。

(この稿続く)

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