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2011年12月12日 (月)

題名のない音楽会 2011年12月11日 カルミナ・ブラーナ

「名曲百選」のシリーズの一環として掲題の曲が採り上げられた。

番組内では説明がなかったが、作曲者のオルフが後に「世俗の讃歌3部作」として纏めた3つの作品の第1作にあたる。1935年~1936年作曲。1937年初演。
ちなみに第2作は「劇的演技 カトゥーリ・カルミナ」と称され、1930年作曲、1943年改訂。1943年初演。
第3作は「劇的コンチェルト アフロディーデの勝利」と称し、1950年~1951年作曲。1953年初演。

こうしてみると、第2作とされている作品が、実は最初に作曲された作品ということになる。
3作通しての初演は1953年だそうだ。

当初は別々の構想に発していたかも知れない作品を、大きなテーマの基に1つの括(くく)りで纏めたという例は、ベルリオーズの幻想交響曲と、声楽入りの管弦楽作品「レリオ」との関係を思い出させる。
これらは「ある芸術家の生涯のエピソード」として括(くく)られ、第1作が「幻想交響曲」で第2作が「レリオ」、作品番号も前者がOp14、後者がOp14 bis となっている。
まあベルリオーズの場合は並行して作曲されたようだから少し違うのかも知れないが、こうした方法が参考になったのかと推測したりするのも面白いかも。

今回の題名のない音楽会で、オルフのカルミーナ・ブラーナを名曲百選としてセレクトした見識は評価するし、どうしても抜粋になってしまうのは仕方ないものとして理解する。
しかし、納得ではないのは、オケがフルオケでなく、シエナ・ウィンドオーケストラだったこと。総譜は持っていないが、確かフル・オーケストラで作曲されているはずだ。他の番組で演奏していたのを見た記憶によっても、そのはずだ。
念のため作品名辞典を調べるとフルオーケストラであることが確認できた。

合唱は大規模な編成を呼んできていた。折角そこまで整えているのに、なぜオケをフルオーケストラで揃えないのか。

佐渡の解説は「大いなる生命の讃歌」といったことを越えるものではなく、話していた内容は省略する。
しかし、この記事を書くために、この作品と、第2作と第3作の作曲年などを調べていて私なりに気付いたことがある。

第1作は、第2次世界大戦(1939年、ドイツがポーランドに侵攻して勃発したとされる)に向かいつつある不安な日常の中で作曲・初演され、第2作はどうやらドイツを始めとする枢軸国側の配色が強まりつつあった時期に、以前作ったものを改訂し初演され、さらに第3作は冷戦時代に突入し「第3次世界大戦」への恐怖が人々の気分を被っていた時期に作られている。

第1作である「カルミナ・ブラーナ」しか私は聴いたことがないし、それもCMやバラエティ番組の合いの手としての使われ方で有名になった、第1曲と最終曲の「ああ、運命の女神よ」の一部しか記憶にないという程度。
しかし、その「女神」の音響の強烈さ、激しさ、底知れぬ暗さ、おどろおどろしさは異常なもので、上記のような軽い扱われ方をしていることに、ずっと違和感を覚えていた。今回の番組での佐渡の解説も、とても軽いもので、何か足りない・・・と感じた。

違和感の正体が、作曲年などを調べているうちに、ようやく分かった気がする。

確かに「生(場合によっては『性』を含む)への讃歌なのだろうが、「絶望に近い処から発する『生』への欲求、そして賛美」というのが、あの「女神」から聴こえて来る音楽の本質なのではないだろうか。少なくとも私には、そのようにしか聴くことができない。

深刻な音楽を、茶化して使うことにより、絶妙な効果を挙げるという例は幾つもある。
少し前のことになるが、ショスタコーヴィチの第7交響曲の中のテーマに「ち、ち~んプイプイ、ち、ち~んプイプイ」という歌詞を付けて流されたCMがあり、最初聞いたときはのけぞって笑い転げたものだが、それは、ショスタコーヴィチの音楽自体に、パロディックな要素が含まれているからである(「題名のない音楽館」内の「ショスタコーヴィチ 交響曲第7番」をご参照ください)。

しかし、カルミナ・ブラーナの「女神」は、とてもそんなことを考える余地のないことはハッキリしているはずだ。

だから、ただ曲を通り一遍に紹介するのではなく、もう少し深く突っ込んで聴くためのヒントを・・・ヒントでいいから、せめて・・・併せて提示して欲しいのだ。

この「題名のない音楽会」は、私が他に大事にして録画・保存している「N響アワー」や「名曲探偵アマデウス」に比べて、その辺りが極めて不足していると言わねばならない。

さて、この曲、そうしょっちゅう聴くわけではないし確かCDも持っていないはずだが、アマゾンでチョイ聴きしてみてスゴイと思ったのを1つだけ挙げておく。ハーディング指揮。

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