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2011年11月 9日 (水)

サンクトペテルブルクアカデミーバレエのロミオとジュリエット

2010年10月23日(日)、兵庫県伊丹市にある「いたみホール」で、掲題の公演があった。
娘から、都合が悪くなったので・・・と差し出されたチケットを、好きな作品だしナマでは観たことがないのでホイホイと貰ったのだが、パンフレットを見ると、オケはナマではなく、録音を使うとのこと。S席で6500円だったし(安い)、また「アカデミー」と入った団体だったので、まあそんなとこか、と納得した。

開演前に、ファジェーエフという芸術監督のプレトークがあり、新しい演出による日本初演だと言う。ここでちょっとイヤな予感がした。パンフレットを改めてよく見ると、確かにその旨の記載があった。
とは言え、余り新しいものを拒否してばかりといいうのも良くないと思い、お手並み拝見、という心づもりで臨んだ。

始まると、この新演出のキモだとのことで、「時の女神」なるキャラクターがまず姿を現し、早速面食らったのだが、次いで肉襦袢(にくじゅばん=肌にピッタリと付けて着る、肉色のじゅばん)をまとった男女が何組も現れ、その中にロミオとジュリエットが登場するに及び、拒否反応を覚えざるを得なくなった。
余りにもワイセツな感じだし、ロミオとジュリエットが・・・死後の世界で、とのことだが・・・最初から出会ってしまっているようになり、本編中での劇的かつ運命的な出会いの意味が薄れてしまうではないか。

そして、この肉襦袢の男女数組は、このあとも時折登場するのである。

余り多くはない人数で演じたようで・・・予算の関係? ・・・例の最も有名な音楽が鳴る「騎士たちの踊り」は華やかさがなく、そのシーンで最後に鳴らされるガヴォット(古典交響曲の第3楽章と同じもの)は省略された。そしてバルコニーのシーンも、バルコニーなしで演じられた。

録音による演奏とのことだったので、劇場の音響システムがどのようなものかと思っていたのだが、到底オケを鳴らすにはふさわしくないレベルの音。
プロコの曲では、こんな作品でも時折耳をつんざくような不協和音が大音響で鳴らされることがある。ナマの音ならガマンできるが、レベルの低い再生音だと、ただやかましいだけで、とても聴けたものではない。

時間を追うにつれて違和感がつのり、2幕構成だったのだが、1幕が終った時点で1度も拍手する気になれず、ここで帰ってしまおうか、とかなり迷った。

まあ何とか残って観続けたのだが、「時の女神」が相変わらず妙な処に出てくるし、二人だけの結婚式を挙げさせる修道僧は出てこないし、殺し合いのシーンで本来は怒りの余り我を忘れて剣をとってしまうロミオに剣を渡すのが「時の女神」だったり、かなりイヤになった。

それでも、最後近く、ジュリエットが、ロミオの死んだ姿を見て嘆き悲しむシーンだけは、迫真の演技と言えるもので、思わず心を動かされてしまった。ここだけは拍手した。ただ、ここは音楽の持っている力が余りにも大きいことが、イヤでも心を動かされることに繋がる、ということはあるだろう。

まあ、自分ではまず買わないチケットだっただけに、良い経験をさせてもらった、ということだ。

それにしても、全体として大したことのない演技だったし、新しい演出で違和感があったし、こういうものを観ていると・・・会場で観ながらその思いを強くしていったのだが・・・どうしても、オーソドックスな演出で踊りのレベルも高い第一級の公演が、いかにスゴイものであるか、ということを改めて感じざるを得なかった。

会場には、地もとの会場ということもあってだろうが、いかにも「バレエを習わしてます」「習ってます」然とした母子連れが目立った。
もしかすると既にオーソドックスなものを観ているのかも知れないが、もしこれを最初に観ているのだとすると、どう思ったのだろうか。
やはり最初にDVDなどでオーソドックスなものを見せておくべきだろう。

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