名曲探偵アマデウス 2011年10月19日 続き
(前稿からの続き)
「亡き王女のためのパウ゜ァーヌ」。番組内ではぴあの版を使って分析していて、見識だし私は基本的に賛同する・・・と書いたが、オーケストラ版はこんな感じである。ピアノ版と同じ四分音符=50 で打ち込んでみた。
主旋律を奏でているのは、珍しい「G管」のホルン。
通常、ホルンは殆ど「F管」であって、Finaleの音源にも「F管」と「E♭管」しか用意されていない。仕方ないのでF管で入力してから2度上げた。
本来は、ラヴェルがそれを要求していたのだし、他はごく普通の楽器を使っているので、ホルンだけわざわざ「G管」を指定したのは、「G管」ならではの音色が欲しかったはずなのだが、やむを得ない。
「forblog_short_pavane_ohtr.mp3」をダウンロード
一度にアップできるファイル容量の関係でビアノ版と分かれたページに載せることになった。もし聴き比べて頂けるならば、どう思われるだろうか。
私は、オーケストラの使い方がうまいので、これはこれでいいかも知れない、と思いつつ、それでも、音色が豊かになった分、何か大切なものを失ってしまったように思うのである。ピアノ版の、素朴でありながら何か心の、深い処に入り込んでくるような感じ・・・とでも言おうか。
さて、前稿で、この曲は作曲家や演奏家にとっては価値の低いものとされてきた歴史があり、何よりもラヴェル自身が、後年、批判の急先鋒に立った・・・と書いた。
しかし皮肉なもので、彼自身、この曲を愛してもいて、プライベートな場ではよく弾いて聴かせたそうだ。
そして、番組内で紹介され初めて知ったのだが、晩年、ある処でこの曲が流れているのを耳にして「実に美しい曲だ・・・。ところで誰の作品かね」と言ったそうだ。
こういう話、私は涙なしには聞けない。
晩年、交通事故の後遺症で、頭の中にある曲想を楽譜に書くことができなくなってしまった、という話があるから、そんな時期と重なっていたかも知れない。
また、「人魚姫」の話で、ハッピーエンドとはならないバージョンでは、人間界に来て人間の男と愛し合う関係になった姫が、人魚界に帰らざるを得なくなる。そして、帰ったあとで何年かしてから彼と再会するのだが、愛し合っていた彼であることが分からなかった・・・という話を思い出したりした。
この曲のオーケストラ版の、私のリファレンスはデュトア盤。
ビアノ版は色々と出ていて甲乙つけがたいが、正統的な演奏として、パスカル・ロジェの全集版を騰げておきたい。ちょっとだけ試聴してみたが、上記の、私の感じたテンポよりもさらに遅いように聞こえる。
併せて、我らが辻井伸行の演奏も。これも少しだけ試聴したが、実にきれいな音が出ている。
ただ、日本人の演奏も色々と出ているからと言って、誰でも良いわけではない。それぼとヒドイ演奏もないとは思うが、絶対に買ったら損、というのが1つだけある。フジコ・ヘミングだ。間違ってもこれだけはだけは手を出さないように忠告しておく。
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