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2011年11月23日 (水)

名曲探偵アマデウス 2011年10月19日 亡き王女のためのパヴァーヌ

ラヴェルが1899年にピアノ用に作曲し、1899年に自らオーケストラ用に編曲した曲である。

クライアントは探偵が学生時代にちょっとアヤシイ関係にあったことをほのめかす、ディープ内藤。このクライアントは時折出てきて今後の作品について相談するのだが、余り内容のあるものではないので今回はメモしていない。

楽曲分析では、ピアノ版を使用した。
これは1つの見識だ。私はこの曲、ピアノ用の方が優れていると考えているし、ピアノの方が音楽の骨組みが分かりやすい。

シンプルだし人気もある曲だが、作曲家や演奏家の多くが、価値の低い曲とさげすんできたと言う。
これは知らなかったが、この機会に改めてピアノピースとオーケストラ用のスコアを取り寄せてみると、オーケストラ用のスコアの解説に確かにそのことが書いてあり、しかも・・・番組内でも言及していたはずだが、批判の先鋒に立ったのは、後のラヴェル自身だそうである。

曲の始まりは「空虚五度」(長調か短調かをハッキリさせる3番目の音を欠く和音)で、長調とも短調ともつかない響きを持つ。始まりこそ長調(この曲には♯がひとつ付いているので、ト長調)みたいだが、すぐに短調(ホ短調)とも取れる響きとなる。そこに繋留音(前の音が続いて鳴ること)が時折加わって、不協和音を生ずる反面、響きに陰影が出る。

そうした分析の後、「亡き王女」とは誰のことかという話に移り、ラヴェルを援助していたポリニアック大公夫人という説が濃厚・・・という話になる。現にラヴェルはこの曲を彼女に捧げている。
しかし定説とされるには至っておらず、世の中の女性一般、さらにはラヴェル自身の母親という説も成り立つと言う。

曲をどんな速さで演奏するかというメトロノーム記号だが、一般に四分音符1つを54という速さでラヴェルは指定していて、私が手許に取り寄せた楽譜も、両方ともそう記載されているが、実際にラヴェルが自作自演を録音したものは四分音符=70に近い速度で弾いているそうだ。
このため、出版譜によっては、その速度を指定しているものもあるそうである。

それは彼の母親が亡くなってから録音されたものであることから、彼の、女性観が変り、そのことが影響しているのではないか、と番組内では話を進めたが、私はこのことには賛同しない。
作曲家が自作自演したものを絶対的なものとするのは誤りだとおもうからである。実際、作曲家の指定したテンポよりも速くしたり遅くしたりして演奏することによって、却って曲の価値が高くなった曲は、過去にいくらでもあるからだ。

ちなみに、私は聴いたことがないと思うが、自作自演盤も出ている。ただ、新品は入手しにくいようだ。

私はこの曲、楽譜の指定よりももう少し遅くてもいいと思う、ピアノ版の冒頭部分をDTMで打ち込んでみて色々と試したが、四分音符=50 にしてみて落ち着いた。この位のテンポで良いのではないだろうか。
ちなみに、Finaleに付いているGarritan Instruments による演奏で、スタインウェイのピアノということになっているのだが、ペダリングの指定が中々うまく行かず、少し濁ったり途切れがちになっているかも知れない。

「forblog_short_pavane_piano.mp3」をダウンロード

(この稿続く)

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