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2011年9月 3日 (土)

名曲探偵アマデウス 2011年9月3日 ラフマニノフP協2番

久しぶりに「名曲探偵アマデウス」のセレクションが戻ってきた。

クライアントは、かつて天才的な心臓外科医として知られていた財前五郎。手術が失敗して表舞台から姿を消していたが、大学の恩師がオペを依頼してきて、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番のレコードを託して、昏睡状態に入ってしまった。オペにはもう自信が持てないが、時間はない。レコードに託された恩師のメッセージとは? という内容。
事件ファイルNo.は12。

そのレコードは、ラフマニノフの自作自演のもの。番組中ではLPレコードだったが、今では勿論CDになっている。
こうした歴史的価値のある盤が今でも手に入るのは素晴しいことだ。

曲の冒頭、ラフノニノフが10度の音程を易々と弾いているのに、助手のカノンがやってみようとしても、到底届かない。そこで、ラフマニノフの手の原寸大のレプリカを使って、いかにスゴイ手の大きさだったかを説明したのはご愛嬌。実際には12度届いたそうである。
ラフマニノフと同様に、かつて財前も「神の手を持つ男」として知られていたという話に関連させていた。

第1楽章の第1主題のうねるような感じは、メロディーのつくりが、上がって行こうとしては下がる・・・を繰り返すことによる。
また、有名な第2主題は、譜面に書いてある通りに弾くだけでは何の味わいもない。これを、通常演奏しているときの、表情をタップリ付けた弾き方との譜面そのままで何の細工もない2通りを弾いて説明したのは、中村紘子。

中村紘子によると、この曲は全体として難しい処だらけで、あたかも、白鳥が、姿は優美さそのものたが、水面下ではとても大変なことをやっているというのと同じだとのこと。

また、第2楽章のたゆたう雰囲気は、4拍子の曲なのに、1小節に3連符が4つ入っていることで、3連符4つをひとまとまりとしたメロディー作りによって、3拍子のような感じを持たせていることを説明(3×4=12、12=4×3)。

そして、この曲はラフマニノフが精神的にやられてしまったあと、奇蹟と言える復活を遂げた作品だ、というのがメインで、ラフマニノフと同様、財前も復活してくれ、ということになる。
そこで、第3楽章のつくりが、苦悩に満ちた第1主題と、復活の第2主題とから成る、という説明が付け加わった。

演奏例は、中村紘子とN響、指揮は準・メルクルで、第3楽章の抜粋。

番組を見始めたとき、ラフマニノフの復活と財前の復活をからめた話になる、ということは直ぐに想像できた。その通りの展開になったが、改めてこうして分析しながら聞かされると、知らなかったり気付かなかったことも結構あった。

第3楽章の第2主題が「復活と歓びの主題」として説明されたいたのには賛成しかねるが、確かに、終楽章に重きを置いた協奏曲なのかも知れないとは思った。
交響曲において終楽章に最も重点を置いた曲づくりはベートーヴェンが始めたわけで、ロマン派以降の作曲家の作品に大きな影響を与えた。
私はこれを「終楽章交響曲」と呼んでいるが、同様に「終楽章協奏曲」というものも確かにありそうだ。しかし、以外に少ないようにも思う。

そんなことを色々と考えさせられもした。

処で、クライアントの職業と「財前八郎」という名前を聞いて、思わずニヤリとしたのは私だけではないはずだ。
明らかに、山崎豊子の「白い巨塔」の主人公である「財前五郎」のパロディーである。「八」は「嘘っぱち」の「八」?

この「白い巨塔」、原作は読んでいないが、田宮二郎の主演によるテレビドラマは時々見ていて、おおまかなストーリーは知っている。
現在にも通じるテーマで、全く古さを感じないはずだ。
だからこそ、その後も何度かテレビ化されているし映画にもなった。
世代的には、唐沢寿明主演のものが馴染み深いのだろうか。

演奏例は中村紘子によるもので、悪くはなかった。
私のベスト盤は、この右欄に掲げている、グリモーの演奏。

番組のオチは、見事復活した財前が新聞に写真付きで載っていたが、そこに一緒に映っていたのは、ラフマニノフの手の原寸大のレプリカ。
相談にきたとき、探偵がプレゼントしたものだった。

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