N響アワー 2011年8月21日 樫本大進のスペイン交響曲
樫本大進というヴァイオリニストの名前は、ベルリン・フィルのコンサートマスターになる以前から知っていたし、2010年のヴァルトビューネコンサートや佐渡裕の客演の際の映像で、ベルリン・フィルにおける活躍ぶりを目にすることによって、「ああ、この人だったか」と思った。
しかし、独奏者としての彼を、これまでは聴く機会がなかった。
その樫本大進がN響でラロの「スペイン交響曲」を演奏するというので、楽しみにしていた。
結論としては、大変良かった。
樫本大進本人の弁によると、この曲は13歳か14歳で演奏したのが初めてで、いつかもう一度演奏してみたいと思っていて、2009年にレーピンがN響と演奏したのを聴き、凄い演奏だと思うと同時に、改めて自分でも演奏したいと思った由。
スペイン風のメロディー回しやロドリーゴり「アランフェス協奏曲」のようなギター的な響きもあり、他のヴァイオリン協奏曲では味わえないような音色があり、演奏していて楽しいとも言っていた。
ラロの曲の前に、番組では彼がバッハの無伴奏パルティータ第3番を演奏したときの映像と音が紹介された。
第1楽章の「プレリュード」だけだったが、実に明快な音楽づくりで、ナルホドこれは実力があるナ と感じ入った。
スペイン交響曲で指揮したのは、N響初登場のスザンナ・マルッキというフィンランド出身の女性指揮者。
西村によると、現代音楽のスペシャリストで、現代音楽のためのオケの音楽監督も務めているとのこと。
知的な美人。美人だけど・・・いや、美人だから余計に・・・指揮しているときの顔は少し怖い。
この曲については、私はさほど込み入った解説なり感想を書き示す言葉を持ち得ない。ただ、いい曲だし、楽しい曲、ということになる。そして演奏も良かった。大変良かった。
ボーッと聴いていると、オケが実に良く鳴り、良く鳴るのにヴァイオリン・ソロの音とは被らないように配慮して作曲されていることが良く分かった。
西村の感想として、音楽の持っている力を伝える強いパワーを持ったヴァイオリンで、オケとの対話も深い、欧米各地で活動してきているからか、大陸的なスケールも感じさせる・・・とのこと。また、マルッキとの、演奏中の表情や姿との対比も面白かった、と付け加えた。
その通りで、マルッキの指揮姿は少し怖い、と上に書いたが、オケをキッチリ鳴らすのは巧い。良く言えば明快な演奏ということになるだろうが、悪く言えば冷たい感じの演奏と言えないこともない。
さて、この曲、私のオススメはムターと小澤征爾の共演による盤である。そもそも、この曲、雰囲気からして女性ヴァイオリニストの方が適していると考えているのだ。艶っぽいフレーズが随所に出てくるし、それを女性ヴァイオリニストが演奏すると、得も言われぬ色気を感じさせるのである。この曲を聴く楽しみは、そうした処にもあると思っている。
同じ意味で、チョン・キョンファの演奏も捨てがたい。
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