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2011年8月19日 (金)

N響アワー 2011年8月14日 岡本太郎

夏の特集の一環として、現在記念館となっている岡本太郎のアトリエを訪ねて、そこの館長と、岡本太郎の芸術を語るというもの。
ここの館長は岡本太郎の奥さんが務めていると思っていたが、他界されていたのだった。知らなかった。現在の館長は岡本太郎の研究者だとか。

トーク内容と演奏曲は次の通り。

  • 岡本太郎の原始主義的な色彩ということに関連し、「春の祭典」から終曲「いけにえの踊り」
  • あるお寺から依頼されて創った梵鐘の、現物と同じものが置いてあり、叩く場所によって異なる音色が出る、と言って西村朗が大いに関心を持つ。で、実は黛敏郎が実際に来訪して鳴らし、深く興味を示したそうである。そして、これに触発されて作曲されたのではないか、ということから、梵鐘の音を模した部分がある「涅槃(ねはん)交響曲」の一部
  • 岡本太郎の奥様が、岡本太郎の発言を逐一書き留めていたというノートを見ながら、岡本太郎の才能を世に知らしめた功労者は奥様だっただろう、それに相当するのがシューマンの奥さんとなったクララ。クララも作曲の才能があったが、夫の作品の方が優れている、ということを理解し、専ら夫の作品の普及に努める役に徹して行くこととなった。ということで、彼女によって初演された、ピアノ協奏曲の、第1楽章の一部。
  • 岡本太郎は自分の絵画を売ろうとはしなかった。そうしてしまうと、自分の作品は大金持ちの専有するものとなり、人の目に触れなくなってしまう。だから、誰でも目にすることのできる、公共の場所に置かれるものを創ろうとした。場合によってはそれを見て嫌いに思ったり下らないと思ったりする人もいるだろう、しかし、芸術というのは、そういうものだ。芸術は大衆のものなのだ、という考え方を貫いていた。この話から、芸術は大衆のものと考えていたはずの、ベートーヴェンの作品から、交響曲第5番の、第3楽章の最終部から、第4楽章。

岡本太郎という芸術家とその作品について、私はよく分からないし「芸術は爆発だ!」と叫んだりするパフォーマンスは嫌いだった。しかし、大金持ちの専有物になってしまうから、と自作を売らなかった、ということは知らなかった。少し見直した。
また、アトリエにはピアノが置いてあり、暗譜でベートーヴェンなどを弾いていたとかで、実際演奏している姿の映像が残っていて、それも紹介された。
また、お寺に収めた梵鐘と同じものについて、黛敏郎が深く関心を示して、「涅槃交響曲」のヒントになったのではないか、ということも、知らなかった。

だから、音楽番組としてではなく、ドキュメンタリーとしては中々面白かったし参考にもなったと言える。
しかし、音楽番組としては、かなり無理のある構成だったと思う。

  • まず、トークの内容と、曲とを無理矢理結びつけていたこと
  • トークそのものも、前週の手塚治虫に対する手塚るみ子のような身内ではなく、多分、何の縁戚関係もない研究者が案内役。身内ならでは、という話は何もなく、通り一遍の話に近かった
  • 岡本太郎は、ある時点までは音楽家になるか絵画をやるか迷っていた、ということから残っている映像が紹介されたが、そこに残っていた演奏を聴く限りは、腕前は大したものではない

中で採り上げられた曲は多くの人が知っているだろうし、私も今回の選曲に概ね不満はない。それらについてお奨めのCDは挙げない。
しかし、黛敏郎の涅槃交響曲については、上記の不満点の続きにもなるが、梵鐘の音に啓発されたかも知れない、というエピソードと、一部演奏された部分が合っていなかったのが不満である。音も実に悪かった。

黛敏郎の「涅槃交響曲」は、前衛的な作風と作品を中心にしていた彼が、保守回帰(多分、思想的にも)してゆく端緒となったとも言われる作品で、寺の梵鐘の音を波形分析し、オーケストラでできる限りその音に近い響きを出そうとして作曲された部分を持つ。
「カンパノロジー」と名付けられたそれらの部分の中で、特にそのことが明確に聴き取れるのは、最初の「カンパノロジー」である。
演奏としては、その部分を出してこないと話が繋がらない。

この曲は、日本人による云々の前置き抜きに、20世紀の音楽の最高傑作だと思っている。番組で放送されたのと時期は異なるが、岩城宏之とN響の組み合わせによる演奏が入手できる。

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