名曲探偵アマデウス 2011年8月9日 シェエラザード
特集「オーケストラのすべて」として4夜連続放送された2回目。
「オケラ座の怪人」から探偵の元に挑戦状が届き、千夜一夜物語に関係する曲の演奏会で、演奏をメチャメチャのする、という。
その曲はリムスキー・コルサコフ作曲の「シェエラザード」の演奏会と思われるので、曲のどの辺りで妨害が入るか、リハーサルの現場をあたったり先生方にアドバイスをもらって推測せよ、と探偵がアシスタントに指示する。
それを受けてアシスタントの響カノンが調査を進める・・・というのが「事件」の枠組み。
リムスキー・コルサコフは「近代管弦楽法の父」と言われるが、そもそも「管弦楽法」とは何か、という説明から始まり、「シェエラザード」でどのようにして効果的な音を出すように作曲されているかが解き明かされて行く。
解説によると、リムスキー・コルサコフは、「オーケストラの土台は、豊かな響きの弦楽器」と言っていたそうで、それに木管楽器で音色の変化を付け、金管楽器で音量を強めるという方法を採っている由。
複雑で華麗な彼の管弦楽法も、こうして解き明かされると実に簡明で分かりやすい。
一夜ごとに妻を得ては殺すということを重ねていた残忍な王が、次第にシェエラザードに惹かれて行き、遂には柔和な性格を取り戻し、シェエラザードと幸せに暮らすようになる、ということを金管楽器またはチェロの王と、ヴォイオリンのシェエラザードで現してゆく点、実に巧に描かれている。
良く知っている曲だが、改めて説明されてみると、ナルホドと思うことが何点かあり、満足できる内容の番組となった。
さて、この曲だが、こうした曲を得意中の得意とするのがデュトアだ。私はこの盤しか持っていないが、これで必要にして十分ではないだろうか。
それにしても、元々音楽を専門に勉強したわけではなく、バラキエフを始めとする「ロシア五人組」の仲間内での勉強を除くと殆ど独学だったにも関わらず、ペテルブルク音楽院の管弦楽法と作曲の教授に迎えられ、管弦楽法に関する教育書を著わし、ストラヴィンスキーといった大作曲家も育てた、というリムスキー・コルサコフという人の存在は、西洋音楽史における奇蹟と言って良いのではないだろうか。
彼の功績によって、その後の西洋音楽がさらに発展することとなって行くのだから。
上記のストラヴィンスキーの3大バレエの内2曲までが、リムスキー・コルサコフの影響を感じさせずにはおかないし、ラヴェルもリムスキー・コルサコフの教科書を範としていたそうだ。
さて、演奏会をメチャメチャにするという事件は結局起こらず、「音楽を聴いて行くと王と同様に『怪人』も、シェエラザードの優しさに触れ、心を開くに至ったのだろう」ということになるのだが、実は「怪人」は探偵本人であり、カノンにしっかり勉強させよう、という狙いだった・・・みたいなオチで「事件」は解決。これまでの他の「事件」とは異なった様相のものとなった。
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