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2011年7月 3日 (日)

リーズ・ドゥ・ラ・サール ピアノリサイタル 2011年7月1日

放送は上記の午前6時からBSプレミアム。公演は2011年5月17日、於 紀尾井ホール。

プログラムは全てリストの作曲または編曲によるもので、作曲した作品は「バラード第2番」と「詩的で宗教的な調べ」から「葬送曲」。編曲モノは「モーツァルトの『レクイエム』から『ラクリモサ』、シューベルトの「セレナード」、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の、「イゾルデの愛の死」であった。

私は、リストに関しては、まだ率直な処、よく分からないことが多い。管弦楽作品よりはピアノ曲の方が遙かに優れた作品が多いとは思っているのだが、やたらに細かな音符を沢山書き込み、やたらに技巧的に、またきらびやかに作り過ぎていてウルサイと感じることが多い。
そういう側面だけではないかも知れない、と思えるようになってきたのは、ごく最近のことである。

それでも、積極的にどしどし聴いてみたい、と思うには至っていない。今回のプログラムも、作曲した作品は2曲とも初めて聴くはずだし、編曲モノも、モーツァルトもシューベルトも聴いた記憶がない。

だからこの放送も、リーズ・ドゥ・ラ・サールがソリストでなかったら、聴いてみようとは思わなかったことだろう。放送時間が早いことから、録画して見ることになるが、勿論、録画しようとも思わなかっただろう。

結論として、聴いて良かった。

「バラード」と「葬送曲」は、「リストで、こんないい曲をまだ聴いて来なかったのか」と思わせてくれる作品であり、演奏だった。
字幕の解説によると「葬送曲」は、ハンガリー独立運動が弾圧されて旧友の多くを喪ったこと、そしてショパンが他界して間もなくだったことから、これらの友人たちを悼む思いから作曲されたものだそうである。
ショパンの「英雄ポロネーズ」からの引用もあるとのことだった。聴いてみると確かに出てくる。扱いは少しリスト風なテクニックもあるが、暗く思い曲調に変っていて、自分自身の故郷ハンガリーへの思いと、結局終生祖国に戻れなかったショパンの心情とを重ね合せているように感じさせられた。

編曲作品で、「ラクリモサ」は全然良いと思わなかった。演奏ではなく、これは作品がダメなのだと思う。ハッキリ言って失敗作だ。リストの、私にとって鼻につく、嫌な面が目立った。過剰な音符が原曲の本来持つ哀しさ・切なさを完全に損なってしまっているように思った。モーツァルトは、リストに合わないのかも知れない。

「セレナード」も、こんな調子で編曲したのだったらイヤだなあ、と思っていたら、これは良かった。というより、参ってしまった。
余り飾り立てない編曲と思われたのも良かったのだと思うが、恐らくその価値を十二分に出し切ったのは、彼女の演奏に依る処が大きいのではないか。
原曲を歌曲で聴くときにはこれまで全くなかったことなのだが、聴いているうちに涙が溢れて止まらなくなってしまった。
これは聴衆の多くも感じたことなのではないだろうか。ここまでで最も大きな拍手と、演奏会で最初の「ブラボー」が発せられた。

「愛の死」。これはもうリストにとってお手のものだ。ワーグナーのゴチャゴチャした音楽は、最もリストに向いているのかも知れないし、娘婿となったワーグナーへの敬愛が現れているのかも知れない。編曲モノとしての価値も高いと思った。

そして、音符のひとつひとつに異なった色合いを出しながら表現できる、彼女のテクニックの凄さも、タップリと見聞きすることができた。

とは言え、原曲でも中々「これ」という演奏に廻り会わないのも確かである。
「愛の死」の原曲の演奏で私が最も優れていると考えるのは、カラヤン指揮ウィーン・フィルで、ジェシー・ノーマンが歌ったものである。今回のリーズ・ドゥ・ラ・サールの演奏は、編曲版ではあるが、ひょっとするとそれに並ぶと言っても良いかも知れない。

聴いて良かった。これからも注視し続けていきたいピアニストだ。

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