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2011年5月 9日 (月)

特選オーケストラライブ N響とメータの「第9」

この演奏会は、2011年4月24日(日)にBSプレミアムで放送されたものだが、抜粋の形で既に2011年4月17日のN響アワーで採り上げられている。公演は2011年4月10日。於 上野 東京文化会館。
N響アワーでこれを採り上げたときの記事は、2011年5月7日付。

「こんなときに『第9』というのもなあ・・・」と思って聴き始めたのだが、それは、年末の恒例行事として演奏されることが多くなり、祝典的な曲としての印象が強く、私もそんな気持だったためである。
しかし、第1楽章が鳴り始めたとき、「ああ、この曲は厳しい曲だったのだ」と思い起こすことができたのである。

N響アワーでは第2楽章と第3楽章を省略して、第1楽章の次には第4楽章を放送したので、この「特選オーケストラライブ」で、改めて全曲を聴いた。

基本的な感じ方は変らなかったし、この演奏会が歴史に残るものだという考えにも変りはないが、欲を言うと少し物足りない処もあった。

まず、「厳しい音楽だった」と思い起こさせた第1楽章。
もう少しゴツゴツした感じが欲しい。メータの演奏は、この曲にしては、やや流麗に過ぎる。
第2楽章も、第1楽章の雰囲気をそのまま引っ張るような曲だと私は思っているのだが、同様に、やや流麗過ぎる。

逆に、第3楽章は、もっと流れるような、慰めるような演奏であって欲しかった。テンポも速めに感じた。
聴き始めの頃、この第3楽章を、何とも長い曲だと感じたのは、慣れの問題もあったのかも知れないし、現に今聴くと、こんな短い曲だったのかと思うことも確かに多いのだが、それにしても速いのではないか。

第4楽章の合唱は、東京オペラシンガーズという処。
この団体の演奏は初めて聴いたが、中々パワフルだし巧いと思った。よく年末に半ば恒例として演奏されるときなどは、どれだけ大勢並べたら気が済むのか、と思うほど大勢の合唱団が出てくるが、今回のは6列か7列で、恒例のに比べると半分ほどに見えた。
これだけで十分であるはずなのだ。事実、海外オケが演奏するのをタマに見るが、もっともっと少ない人数で演奏している。

女性合唱が上下とも黒の衣装であることも好感が持てた。もっとも、これは震災に対し喪に服す意味合いもあってのことかも知れない。

さて、N響アワーで、西村も、「歴史に残る演奏」と評し、私もそれに異議はない。スタンディングオーベーションだった由だし、この放送でも、拍手が10分間鳴りやまなかったと字幕に出た。

しかし、拍手の鳴り始めが、どうにも頂けない。

最近のN響のコンサート全般に言えることだが、拍手の「入り」が早すぎるし、「ウォー」としか聞こえない叫び声が喧しい。曲の最後の音に殆ど被って出てくることも少なくない。いつからこんな下品になったのだろうか。
少なくとも、今回の演奏については、黙祷とメータのメッセージ、そして「アリア」との間の拍手をさせずに演奏したのであり、何度か触れたように、特別な演奏会であった。
曲の終了後、さすがに、終わりの音に被さって拍手が始まることこそなかったが、もう1テンポも2テンポも「マ」が欲しかった。曲が終ったあと、少しの間「シーン」となり、やがて遠慮がちに拍手が始まる・・・そんな拍手であって欲しかった。

さて、この曲、色々な人の指揮で聴いてきたが、1つだけ決定盤を挙げるならば、フルトヴェングラー指揮 バイロイト祝祭管弦楽団のものになる。この演奏の凄味と、終楽章の高揚感は他に例を見ない。これはモノラルだが、疑似ステレオ化した盤や、レコードから復刻した盤もある。

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