最近のトラックバック

« 特選オーケストラライブ N響とメータの「第9」 | トップページ | N響アワー 2011年5月1日 補足 パガニーニ・ラプソディ »

2011年5月11日 (水)

N響アワー 2011年5月1日 ラフマニノフP協2

今年度の新企画である「永遠の名曲たち」と題したシリーズの2回めで、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が採り上げられた。

西村曰く、ラフマニノフという作曲家は、当時の音楽の新しい流れに抗して作曲を続けた人で、そのため、永らくプロの間では無視され続けた。自分も作曲を志したとき、「ラフマニノフが好き」などと言うと、周囲からバカにされる雰囲気があった。しかし、曲の力によって、今や永遠に残る曲となった。

プロの間だけではない。私の経験では、クラシック音楽をメインに聴くファンの間でも、ラフマニノフは一段低い存在と見なされていた。ムード音楽みたい、またはハリウッドの映画音楽みたい、というのがその理由だったと思う。
事実、この曲は、ハリウッドの映画音楽として幾つかの作品に使われている。一番有名なのは、マリリン・モンロー主演の「七年目の浮気」である。

しかし、この映画でこの音楽が流されるのは、「逢い引き」という映画が先にあり、それを戯画的に使ったのである。
私は「七年目の浮気」はテレビで放送されたことがあって見ているが、「逢い引き」はまだ見ていない。いつか見てみたいと思っている。

さて、曲の価値として、私はラフマニノフのピアノ協奏曲の中では3番がもっと上だと思うように、一時なっていた。それは、アルゲリッチ盤による処が大きい。

そもそも、2番についてはかなり聴いてきていて、聴き飽きたという感じがしていたのである。
しかし、それと並行して、次第にこの曲の良さ、面白さを見直させる演奏に接することも多くなり、今となっては、プラスの方向にかなり傾いている。

だから、この曲を「永遠に残る名曲」とすることに異議はない。

この日の放送はビシュコフ指揮で、アレクセイ・ヴォロディンのピアノ。
演奏は、まあ格別に良くもないが決して悪くもない、という程度。

それよりも、ラフマニノフが12度届く手をしていたこと、そのため、この曲の冒頭の、鐘の音を思わせる部分に、10度の幅の和音を書いたこと、そしてそれがどれほど大変な和音か、ということを黒崎アナと2人で、ピアノの鍵盤で示して見せたのが面白かった。
黒崎アナは、1つめの音がどれか、少し自信がなかったようだが、西村に教えてもらうと、すぐに他の音を押さえて見せた。

1つめの音がどれか自信が持てないというのは、ピアノの楽譜で低音の部分が、慣れないと読みづらいためだ。そのことは割り引いていい。この人も一応、何らかの楽器をやったことがあるのだろうと思った。

で、ここの和音は、ピアニストでも、ラフマニノフよりは小さな手の人(殆どのピアニストが該当する)だと、とても弾けないことになる。解決方法は、一度に押さえるのではなく、分散和音のように弾くか、一番低い音を装飾音のように一瞬だけタッチし、残りの音をすぐに弾くことだ。
現に、多くのピアニストのCDが、一度に押さえているとは思えない音だ。

ヴォロディンは、一度に押さえることのできる和音は一度に押さえ、あとは装飾音的な弾き方のように見え、、そして聞こえた。
この辺りの、多くの人がやむなく採っている解決策や、ヴォロディンはどうしていたか、についての解説も欲しい処であった。

さて、この曲、私も色々聴いてきたが、一時はアシュケナージ盤で落ち着いていた。

しかし、今であれば、グリモー盤だ。
「この曲の良さを見直させられる演奏に接することが多くなり」と上に書いたが、そのキッカケを与えてくれたのがこの演奏なのである。
それまでは余り気に留めることがなかった第2楽章で、とくに終わりにかけて、もの凄く心を揺さぶられる演奏をしたのである。

そもそも、曲の冒頭の和音からしてドラマがある。演奏者の息づかいと曲が、作曲者が、一体となって聴こえる。この後の、この曲全体のうねりを予感させるものだ。
冒頭のこの部分は、pp から始まり、次第にクレッシェンドして9小節めでff に突入する。誰でも作曲者の指示通りにクレッシェンドさせているはずなのだが、グリモーにかかると、このクレッシェンドが全く違うものとなるのである。同じ曲が、何で8小節の間に、こんなに違った雰囲気を醸し出すのか、不思議なほどだ。
尚、彼女も、この冒頭部分は分散和音のように弾いている。
指揮は、面白いことに、この曲をピアニストとして弾いたこともあり、上記のCDなども出している、アシュケナージ。オケはフィルハーモニア管。

グリモーのCDは、素晴しいの一言。
このため、今後、このブログ右側の「お奨めCD」として、当面の間常に掲示しておくことにする。

« 特選オーケストラライブ N響とメータの「第9」 | トップページ | N響アワー 2011年5月1日 補足 パガニーニ・ラプソディ »

作曲家、演奏家」カテゴリの記事

作品」カテゴリの記事

音楽番組」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: N響アワー 2011年5月1日 ラフマニノフP協2:

« 特選オーケストラライブ N響とメータの「第9」 | トップページ | N響アワー 2011年5月1日 補足 パガニーニ・ラプソディ »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

書評 資料室

Amazonアソシエイト

無料ブログはココログ