上原ひろみの世界 BSプレミアム2011年5月6日
上原ひろみについては、第53回グラミー賞を獲得したことにより、より多くの人が知ることとなった。
これについては、2011年2月19日の記事にも書いた。同じ音楽の分野とは言っても、少し畑が違うと驚くべき無智をされた出した司会者を批判したものであった。
それはさておき、私も、2、3枚のCDは持っているが、クラシックを中心に聴いていることもあり、最近の演奏やグラミー賞の対象となったアルバムを聴いているわけではない。
国内で幅広く知られるキッカケとなったと思うのが、チャイコフスキーコンクールで優勝した上原彩子と2人でテレビに登場することが多かった時期の頃で、今から見ると初期と言って良いだろう。
2人で登場し、「ダブル上原」なんて言っていたのを思い出す。
で、この番組である程度纏まった形で、最近の演奏を聴くことができた。聴いて驚いた。もの凄い進化を遂げている。もの凄くパワフルになっている。いや、「進化」とか「パワフル」という言葉では追いつかない。完全に超越している。
ジャズをメインに聴いているわけではないので、演奏した曲それぞれについての論評は差し控える。論評する言葉が即座には見つからないためでもある。
で、クラシックをメインにしていても語ることのできる1曲、「ラプソディ・イン・ブルー」のみ、ここに採り上げる。
この曲は、ポール・ホワイトマンの依頼によりガーシュウィンが作曲したものだが、オーケストレーションはグロフェが行った。「大峡谷」の作曲家である。もともと、クラシックとジャズを融合させた、新しい音楽の試みを意図したものである。
そのためもあるだろうが、演奏形態も、曲の鳴らし方も、ジャズ寄りのものからクラシック寄りのものまで、幅広く存在している。
私も、その中の何枚かは持っている。
ガーシュウィン自身がピアノ・ロールにしたピアノ独奏版もある。
ここに挙げるのは、バーンスタインの引き振りによるもの。私にとって、未だにこれがベスト。現在、グロフェの「大峡谷」と組み合わさった徳用盤として入手できるようだ。
そして、発表当時の簡素なオーケストレーションに、ガーシュウィンが残したピアノ・ロールの再現を足したもの。
それと、ガーシュウィン自身のピアノロールを再現したもの。多分ソロ版のはず。
そして、ジャズ寄りの演奏の中には、譜面からどんどん逸脱して行き、アドリブが殆どメインになってしまったものもある。
大体において、そうした演奏、私には受付けることができない。
彼のピアノ協奏曲でも、ジャズ寄りにして、アドリブが長大になった演奏もある。同様に私には受付けられないが、時には、結構いいと思うものもあった。2003年、ベルリン・フィルのワルトビューネ・コンサートで、小澤征爾指揮のもと、マーカス・ロバーツが彼のトリオと共にソロを弾いたときのものである。
尚、このとき、ラプソディ・イン・ブルーも演奏された、と記録にあるが、記憶に残っていない。こちらは余り感心しなかったのだろう。
で、今回の番組の上原ひろみの「ラプソディ・イン・ブルー」だが、ピアノソロ版をベースにアドリブで脱線してゆくもの。これは良かった。
このピアノソロ版、私はガーシュウィンのピアノロールをピアノプレーヤー用にしたソフトを持っていて、目の前のビアノを動かすのを見ている。いつも、鍵盤の動きを見ながら、ガーシュウィンの凄まじいテクニックに感嘆しているのだが、実際にどのように弾いているのか、上原ひろみの演奏を見て、初めて分かった。
分かると同時に、上原ひろみ自身のテクニックの凄まじさも、改めて知った思いがした。
惜しむらくは、タップダンスとの共演であったこと。
世界的なタップダンサーだそうで、実際にスゴイ タップだとは思ったが、やかましいことこの上なかった。まあ、こうしたものを雑音としてしか聞けないのが、「クラシックを中心の聴く」という身のサガでもありますけどね。
ピアノソロだけで演奏するのを是非いつかは聴いてみたいものだ。
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