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2011年5月31日 (火)

題名のない音楽会 2011年 幸せになれる曲

2011年4月29日、イギリスのウイリアム王子とケイト・ミドルトンさんが結婚した。
リアルタイムで放送されたのを私も見て、日本の皇室のそれとの違いや、英国国教会という、キリスト教の中でも少し毛色の変った宗派によるセレモニーの模様など、興味深く見ることができた。何よりも、ケイトさんの可愛くキレイなとこに息を呑むばかりだった。
日本の皇室との大きな違いとして最も驚いたのは、市民階級から嫁いだ場合、その家族が貴族となることである。この辺り、制度も歴史も大きく異なる日本にそのまま当てはめるのは難しいが、せめて、削りに削ってきた「宮家」という存在を、どこかで復活させておくべきではないかと、少し横道に入ったことを考えたりした。

で、この日の番組は、このロイヤルウェディングにあやかって、「幸せになれる曲」「結婚式にオススメの曲」ということで、5曲が取上げられた。
メンデルスゾーンの「結婚行進曲」、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」(オルガン編曲版)、ヘンデルの「オンブラマイフ」、エンヤの「オリノコフロウ」、グリークの「組曲 ホルベアの時代」から、である。

「結婚行進曲」。これは定番中の定番であるだけでなく、単独で聴いても、しつでも幸せな気分になれる。名曲中の名曲だ。
何よりも、16歳のときに書いた「序曲」に、33歳になってから12曲を追加し、シェークスピアの「(真)夏の夜の夢」という劇の付随音楽として仕上げたのが、全く自然に繋げて聴けることである(出版された年の関係からか、作品番号は序曲とは別になっている)。

コンセプトが全く同じなのである。作曲技法も、16歳にして完成の域に達していることである。
モーツァルトの場合も若い頃から本格的な作品を書いてはいるが、若い時の作品は、やはり若書きのそれでしかない。それに比べてもメンデルスゾーンの才能はスゴイとしか言いようがない。「モーツァルトも天才だが、本当の天才はメンデルスゾーン」と考えるべきだと思う。
この曲の私のイチ押しはクレンペラー盤。

2点ばかり、番組の選曲に異論がある。

まず、「主よ・・・」である。これ、幸せになれる曲だろうか?

この曲の原曲は、カンタータ147番(BWV.147)の 「Herz und Mund und Tat und Leben」、邦題では「心と口と行いと命と」などと訳される曲の中のコラール(合唱)である。内容は、ごく大雑把に言って、イエス・キリストの、自らを犠牲にして我々を救済してくれたことへの感謝と賛美、そうしたキリストを得ることができたことの喜びと言ったことである。
キリスト教的な神への感謝と、キリスト教的な信仰に基づく喜びなのであり、我々キリスト教徒でない多くの日本人とは異なる喜びと言ってよい。一般的な幸せとはかなり異なる。

どうせなら、同じバッハでも、上記のようなカンタータ・・・教会カンタータと称する・・・ではなく、「世俗カンタータ」と呼ばれる分野に「結婚カンタータ」という曲がある(BWV.202、210他)。
実は私も聴いたことがないのだが、少しマニアチックに走ってもいいではないか。

もう一点。これは異論というより追加要望というのが近いのだが、リストの「愛の夢」を忘れてはいませんか? 
よく演奏される「愛の夢 第3番」は、リスト自身の作曲した歌曲から編曲したものであるが、その歌曲の題は「おお、愛しうる限り愛せ」である。
参照した辞典の掲載されていた邦題は上記の通りだが、原題は「O lieb,so lang du lieben kannst」となっているから、私なら「おお、愛せ、汝の命が尽きるまで愛せ」としたい処だ。

実は、「愛の夢 第3番」は私の結婚式のとき、私がリクエストした曲でもあるのだが、司会をしてくれた上司の方が、モトの歌曲の題をアドリブで追加してくれたのが記憶に残っているのである。
本稿を書くにあたり、改めて調べてみたら上記の通りであった。

曖昧な、どうとでも取れる題名のついた曲より、この方が、原題から見ても遙かにふさわしいではないか。
この曲、私はボレット盤に行き着いているが、我らが辻井伸行の演奏も悪くはない。併せて挙げておく。

   

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