N響アワー 2011年4月3日 エルガーのチェロ協奏曲他
4月3日放送分から、新年度に突入した。結果、マーラーの3番は3月13日放送される予定だったのが飛び、5月29日に改めて放送する由である。
新年度に入りはしたが、西村も黒崎アナも沈鬱な表情に終始した。
大震災の翌日、N響は予定していたアメリカ公演に向かったそうで、そのアメリカ公演の中、3月20日にニューヨークで行われたコンサートから、エルガーのチェロ協奏曲、そして、コンサートの最初に演奏された、バッハのアリアが放送された。
また、演奏の紹介の前後、会場に詰めかけたお客さんとの触れあい、日本への心遣いなど、心温まる情景も映していた。
さて、私はチェロ協奏曲というジャンルには比較的疎く、もちろんドヴォルザークのものは好んで聴くが、あとはショスタコーヴィチやプロコフィエフの作品に飛んでしまい、ロマン派の作曲家をはじめ、今回採り上げられたエルガーなども、まだ「親しんで聴く」という段階にはない。
だから詳しい批評は避けるが、この曲も、何度か聴いているうちに少しは全体を見渡せるようになってきたとは言える。沈んだ、重たい雰囲気は、震災直後ということもあって、また演奏者(ショットのチェロ、プレヴィン指揮)の思い入れもあってだろう、深く心に染みいるものだった。
さて、バッハのアリアだが、番組内で「G線上のアリア」と紹介していたのが、どうにも気になってしまった。
実はこの曲、阪神淡路大震災の直後に神戸で小澤征爾の指揮によって演奏されたこともあり(オケはどこだったか忘れたが、映像は録ってある)、こうした厳しい現実があるときに演奏されることが多くなったのか。まあ、厳しい音楽が多いバッハの作品の中では、比較的適していると、誰かが思いついたのか。
で、組曲第3番のアリア、というのが正式名称なのに、いつの間にか「G線上のアリア」と呼ぶようになったのは、どこかに書いたと記憶するが、困ったものだと、つくづく思う。
調を替えてヴァイオリンのG線だけで弾けるようにしたのが「G線上のアリア」であって、管弦楽で原曲を演奏するときにその名称を流用するのは、音楽的に誤っているのである。
普段の放送であれば、この愛称の由来などをせめて西村が解説したりしたはずと推測するのだが、特別な回ということを意識してか、そんな解説は一切飛ばしてしまった。
この曲をこんな間違った愛称で呼ぶことは、こうした状況の中で採り上げるようになったことと併せ、私にとっては不可解なのである。
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