N響アワー 2011年4月24日 展覧会の絵 他
冒頭に新しい映像と新しいテーマ音楽を配し、ようやく通常の形となったのが、この日のN響アワー。
先週の予告で、「オリジナルを超える?編曲いろいろ」というテーマでやることが知らされていたので、多分、2011年2月25日の記事に書いた、イオン・マリン指揮による第1692回定期から持ってくるのだろうと予想していたのだが、見事に的中した。
定期演奏会のプログラムの中から「展覧会の絵」と「禿山の一夜」を採り上げたのだが、「展覧会の絵」が「オーケストレーション」で、「禿山の一夜」はリムスキー・コルサコフによる「リメーク」と称すべきものだとか、この他に「アレンジ」という形態があるとか、この辺りの解説は適切なものだった。
ピアノ版とオーケストラ版の違いも、最初のプロムナードの部分の両方の譜面を示しながら解説していた。これも、やり方としては良い。
ただ、どうせ説明するのであれば、両者に大きな違いが1箇所あることに言及すべきだった。
「プロムナード」は、最初のものを含めてビアノ原曲版では、独立した形で5回出てくるのだが、ラヴェルのオーケストラ版では最後のプロムナードを省略しているのである。
これは、少し後にある「カタコンベ」の中でプロムナードが少し含まれていることと、何よりも、最後の「キエフの大門」がプロムナードを発展させたものなので、大音響で鳴らす「キエフの大門」が一層効果的に聞こえるように、ラヴェルが一工夫したのだと考えられているのである。
だから、厳密に言うと単なるオーケストレーションではないわけだ。
また、先の記事にも書いたが、このときのプログラムには、ラヴェル自身によりオーケストレーションされた「クープランの墓」もあった。当日のプログラムを見せて、その凝った内容を紹介しても良かったのではないだうか。
それにしても、この演奏、実に疲れるものだった。
「展覧会の絵」、余りにもテンポが遅い。
初めの方は、この編曲をラヴェルに依頼したクーセヴィツキーの慧眼に感心したり、冒頭トランペット一発で始めたり、アルトサックスを使ったり、それらがまた見事に嵌ったり、やはりラヴェルはスゴイと思いながら聴いていたのだが、余りのテンポの遅さに辟易し始め、やがて聞き流す程度となり、遂には睡魔が襲ってきたほどだ。
そして、「禿山の一夜」。これは、最後の方だけ原典版を使う旨説明があり、画面で「ここから原典版」と示してくれたので理解しやすかったが、それだけのことである。
まさに木に竹をつないだ感じで、リムスキー・コルサコフによる巧みなオーケストレーションと、原典版の荒削りな感じが全く繋がらない。折角「名曲」に値するレベルにまでリメークされた編曲なのに、原典版が最後に来ることで、全部ぶちこわしになった感じだ。本来のリムスキー・コルサコフ編曲で、最後に朝を迎え、魔物が飛び去って浄化された感じというのが、やはりふさわしいし、曲としての完成度も高くなるに決まっている。
以上、2011年2月25日の記事にも書いたが、番組の内容に即して書いた。この記事の最後に、その記事でも紹介した、「展覧会の絵」のピアノ原典版を2点、紹介しておきたい。
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