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2011年3月 5日 (土)

辻井伸行 展覧会の絵

2010年2月25日付でN響第1692回定期に関する記事を書いた際、「展覧会の絵」については、「ラヴェルによる余りにも巧すぎる管弦楽編曲版よりも、原曲であるピアノ独奏による演奏を好む」と書き、続きとしての2月27日の記事で色々な演奏形態のCDを挙げる中、辻井伸行によるCDを見つけた旨、併せて紹介した。

で、入手し早速聴いてみた。
結構良かった。

全体としてややゆっくりしたテンポで、堂々たる演奏だと言い替えてもいい。
リストの「ため息」と「リゴレット・パラフレーズ」が併せて収録されていて、これがまた超絶技巧の曲だが、リストの、無闇に音符がたくさん書き込んであるように見えるのを、「リストはこの音を求めて音符をたくさん書き込んだのだ」と分からせてくれる、流麗な演奏。
この、リストが収録されていることだけで、手元に置いておく価値が十分ある、と言って良いだろう。

「展覧会の絵」もさることながら、リストの曲など、楽譜を見ずにどうやって暗譜(表現としては変だが)したのだろう、とつくづく感心する。

しかし・・・敢えて「しかし」なのだが、「展覧会の絵」については、もう少しグロテスクさや狂気じみた音も欲しい処である。この曲には鬼気迫る要素もあるはずだ。辻井の演奏は、まだまだその域には達していない。

というか、ネアカな人だし人生経験もまだ浅い処から、まだこうした曲の暗く深い面を表現し切るには早い、ということか。リストなどは、テクニックと共に、彼の優しさが良い方向に合い、ベストに近い演奏だ。

そこで、「展覧会の絵」について、2月27日に併せて紹介したアシュケナージ盤を聴き直してみた。

すごい。
これは凄い。改めて、この人が、ピアニストとして超一流だと再確認した。

ポリーニとかアルゲリッチがデビューした前後、即ち、まだ現在ほどにはビッグネームではなかった頃、比較的若い世代に属するピアニストとして挙げられていたのが、このアシュケナージなのだ。ショパンやベートーヴェンも聴いたが、この「展覧会の絵」は、それらに勝るとも劣らぬ超名演だ。

辻井と比べると若干早めのテンポで進んでゆく中、あるときは厳しい表情を出し、また上に書いた狂気じみた処や鬼気迫る箇所も多く、静かな曲では深い哀しさ、または淋しさを感じさせてくれる。

辻井伸行の今後が楽しみだし、彼のCDも良いが、併せてアシュケナージ盤でも聴いてみることをお奨めする。

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