最近のトラックバック

« 題名のない音楽会 2011年2月27日 舘野泉 | トップページ | 辻井伸行 展覧会の絵 »

2011年3月 3日 (木)

N響アワー 2011年2月27日 戦争レクイエム

「デュトア、大作の挑む」と称して、ブリテンの「戦争レクイエム」から第1部、第2部、第6部が演奏された。

実はこの曲、作曲された直後に作曲者自身が録音したものを、ラジオで聴いたことがある。ちなみに、例によって「クラシック音楽作品名辞典」で調べると、作曲は1960年から1961年にかけて行われ、1963年に初演されている。

そして、作曲者自身による録音が1963年で、発売当時、レコード誌でも激賞されていた。これはCD化されて現在まで名盤として語り継がれている。

作曲され、作曲者自身による録音が出てきた当時は、冷戦のまっただ中であり、第3次世界大戦の勃発も、十分あり得た状況となっていた。

1962年10月には、キューバ危機があった。キューバにソ連がミサイルを配備していたことに対抗し、アメリカが海上封鎖で応じた事件である。
1963年にはジョン・F・ケネディ米大統領が暗殺され、1964年のトンキン湾事件を契機に1965年からは、アメリカの北爆(当時南北に分かれていたベトナムの、北半分=北ベトナム に対して米軍機が無差別爆撃を実施したもの)が開始された。

そんな混沌とした国際情勢にあって、この曲が発していたメッセージは、率直に言ってよく分からなかった。
分からなかったと言うよりは、分かるには荷が重すぎたと言うのが正確かも知れない。

録音の発売された当時、レコード誌で「ラテン語の典礼文とオーウェンによる反戦詩が交互に歌われ 云々」と解説され、「ブリテンが後世にまで残る大作曲家になったと言える作品」と激賞していたが、そうした音楽的な意義についても、十分に分かったわけではなかった。

クラシック音楽を本格的に聴き始めてまだ日も浅かったし、何と言っても、モーツァルト、ヴェルディ、フォーレによる「レクイエム」という曲種を、まだどれも聴いたことがなかったのだから、ある意味で仕方がないことではあった。そして、その後この曲をちゃんと聴いたことはなかったはずだ。

で、今回の番組で、改めてこの曲の凄さを知ることとなった。
西村朗が、オーケストラの楽器配置図を示し、外側に配置された大管弦楽と合唱が本来のレクイエムの部分を担当し、内側に配置された小管弦楽と独唱がオーウェンの詩を担当する、と解説していたので、よりよく理解を深めることができた。

しかも、曲の終わりにかけて、レクイエムの部分と詩の部分が融合・呼応し合うようになり、盛り上がり、やがて静かに「アーメン」の繰り返しで終るあたり、この曲でないと得られない体験をすることになる。
・・・と思って聴いていたら、曲の終了後に岩槻アナが、この部分の凄さについて語っていたので、サスガと感心した。やはりこの人でないといけない。この曲について、このように語れるアシスタントは、これまでのN響アワーの歴史には存在しなかった。

この曲が発するメッセージにも拘わらず、戦争のない世界はまだまだ来る様子はない。だからこそ、もっと演奏されるべき曲だ。

« 題名のない音楽会 2011年2月27日 舘野泉 | トップページ | 辻井伸行 展覧会の絵 »

作曲家、演奏家」カテゴリの記事

作品」カテゴリの記事

音楽番組」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: N響アワー 2011年2月27日 戦争レクイエム:

« 題名のない音楽会 2011年2月27日 舘野泉 | トップページ | 辻井伸行 展覧会の絵 »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

書評 資料室

Amazonアソシエイト

無料ブログはココログ