N響第1668回定期 2011年1月16日放送 アヴデーエワのショパン続々
(前稿からの続き)
世界を代表するピアニストと言えば、今ではポリーニとかアルゲリッチを挙げてよいと思う。いや、既にこの二人も古い世代に属するかも知れない。
しかし、彼らが出てくる前は、ルビンシュタイン、ホロヴィッツ、リヒテルの3人が世界を代表するピアニストとされた時代があった。とくにルビンシュタインはショパンについても権威だった。
岩城宏之の書いた本のどれに書いてあったか忘れたが、アルゲリッチがデビューして間もない頃、ルビンシュタインがアルゲリッチの演奏会を聴きに行っていたことがあった。その時のアルゲリッチの気持を岩城宏之は思いやって、「さぞかしやりにくかっただろう」と書いていた。
アヴデーエワがN響と共演した演奏会にアルゲリッチが聴きに行っていた。この定期公演を映した番組では気かつかなかったが、N響アワーのときはハッキリ映っており、曲が終ったあと、岩槻アナがその旨を紹介し、「コンクールの時より、うまく弾けていた」といった感想を言っていたということも併せて紹介していた。
私はアルゲリッチの演奏会をルビンシュタインが聴きに行っていたというエピソードを知っていたので、全く同様に、アヴデーエワもやりにくかっただろうと思った。
しかし、当然会場にアルゲリッチが来ていたことは知っていたと思うのだが、それに動じる様子もなく、自由気ままに演奏していたように見えた。
ずっと長い間、ショパンコンクールは、若い才能を見いだすことに主眼があった。しかし、最近は、既に何らかのコンクールで入賞した経験があったり、プロとしてある程度の演奏歴があったりする人が多く集まり、レベルは当然高くなるが、若い才能を見いだすという主旨とは少し異なる趣きになってきているという話も、N響アワーで紹介していた。
アルゲリッチはコンクールの審査員でもあったのだから、初対面ではなかっただろうし、アヴデーエワも既にある程度のキャリアを積んできている。だから動ずることなく演奏できたのかも知れない。
アルゲリッチをルビンシュタインが聴きに行った頃とは、時代が違うということなのだろう。
(この稿さらに続く)
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