名曲探偵アマデウス 2011年1月30日 スラブ舞曲
今回は、ドヴォルザークのスラブ舞曲集。
オーケストラ版では何度も聴いているが、この日の演奏はピアノ連弾版。これは初めて聴いた。ピアノ連弾版がオリジナルで、その後オーケストレーションされたということは知っていたが、連弾版が演奏される機会は少ないはずである。
事実、CDも殆どない。新品での入手は困難かも知れないが、ベロフ版を挙げておく。
ピアノ連弾で、連弾用の曲としても、二人の手が交差したり、同じ音を弾くようになっていたりして、趣向を凝らしているという説明があった。連弾というのは、横に並んで弾くので、親しい間柄でないとうまく行かないし、仮に好意を持っている男女どうしであれば、グッと気持の上での距離が近くなるからである。
それに、オーケストラで味付けされなくても、ピアノ版でも十分にメロディーの美しさなどが味わえる。
さて、番組の中では第1集の初めの方から3曲ほど詳しい楽曲分析が行われた。
しかし、今回のテーマが「お見合いパーティーで鳴らすのにふさわしい曲」ということだったので、「それなら、あの曲しかないだろう」と、途中でツッコミを入れていた。
すると、後半で「あの曲」が採り上げられたのである。サスガと思った。第2集の第2曲である。この、二つの舞曲集の中で最も有名で、クラシックに疎い人でも、かなりの人が知っているのではないかと思われる、あの曲である。甘く、切なく、聴きようによっては哀しみも感じる、こんなメロディーを創り出すのは、やはり(当たり前だが)天才だ。
ところが、この次に驚いたことがある。
左手で弾かれるベースの音を順にたどると、ブラームスの交響曲第4番第4楽章のパッサカリアの主題なのだ。スラブ舞曲第2集第2番も、ブラームスの交響曲も、何度も聴いているのに全く気がつかなかった。この辺りが、やはり私は素人なのだと思った。
さらに驚いたのは、ブラームスのパッサカリアの主題そのものが、バッハのカンタータ140番の主題だと言うのである。これはマア気がつかなくても仕方がないか。。。
つまり、バッハへのオマージュ(フランス語。hommage ある人に対する深い尊敬や賞賛の意)としてブラームスが交響曲の中にパッサカリアとしてバッハの主題を採り入れ、さらに二人への・・・とくに、自分を見いだしてくれたブラームスへの・・・オマージュとして、この素晴しいメロディーの下に、この主題を使ったというのである。
聴くうちに、ブラームスがドヴォルザークを認めたのは、メロディーメーカーとしてだけではなかった、ということが分かった気がした。構成の面でも、並々ならぬ才能を持っていることを見いだしたのである。でないと、ブラームスが認めるはずもない・・・とも言えよう。
何度も書いているが、この番組は素晴しい。よく知られた曲であっても、楽曲分析をしながら聴かせてくれることによって、より深くその曲を理解できる。
ピアノ連弾版のCDは余りないが、オーケストラ版では色々と出ている。ここではプレヴィン盤とクーベリック盤を挙げておきたい。
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