N響第1688回定期 2011年1月16日放送 アヴデーエワのショパン 続き
(前稿からの続き)
さて、アヴデーエワのショパンで何が収穫だったかと言うと、ロシア人らしからぬ演奏センスとでも言うべきだろうか。
予(かね)てから、ロシア人のピアニストは、男女を問わず、音や響きの大きさ、ダイナミックレンジの広さを追求する傾向が大きく、それがともすれば雑な音楽づくりとなってしまうことがある、と見ている。それがチャイコフスキーなどでは良い方向になることがあるが、ショパンともなると、繊細さに欠けた、悪く言えば乱暴な演奏となってしまうことが多い。
しかし、アヴデーエワは違った。
N響アワーでP協1番だけを放送したときもそう感じたのだが、確信するに至ったのは、N響アワーでは放送されなかった、アンコール曲「マズルカOp.67 第4」を聴いたときである。繊細かつ深いマズルカだった。
P協1番では、「こういう演奏をすればいいんだ」と思った。この曲は実は余りにも聴きすぎて、飽きがきているほどで、もはや積極的に聴く気がしなくなっている。それもあってか、誰の演奏を聴いても、心から喜ぶ気がしないのである。いや、しなかった。
しかし、アヴデーエワの演奏によって、この曲もこうした演奏で聴けば、楽しく聴けるのだということを知らされた。よく出来ている曲だと改めて認識できた。
とくに、第3楽章・・・決して良いとは思っていなかった楽章なのだが・・・テンポや弾き方をすこしずつ変えて、どんどん乗ってゆくような表現で、楽しさが伝わるものだった。この楽章が名曲だと気付かせてくれて、結果としてこのP協1番全体が名曲なのだと再認識したわけである。
(この稿さらに続く)
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