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2010年12月 9日 (木)

N響アワー 2010年12月5日 続き

「コンチェルト・イン・F」を聴きながら、何だかラヴエルの「ピアノ協奏曲ト長調」と「左手のためのピアノ協奏曲」と似た響きを感じていた。

で、ひょっとするとガーシュインがラヴェルに会って弟子入りを乞うが断られたあと、師となるべきだった人に対しての「自分なりの答え」として、ラヴェルの2つの協奏曲へのオマージュ(その人に対して深い尊敬や賞賛の意を表す言葉)として作曲したのか? とも思った。

しかし、手元の「音楽作品名辞典」によると、全く違っていた。

「ラプソディ・イン・ブルー」の作曲・初演は1924年。
「コンチェルト・イン・F」の作曲・初演は1925年。
そして、パリ滞在は1928年で、その間に作曲された「パリのアメリカ人」は、同年、アメリカで初演。

そして、ラヴェルの2つの協奏曲は1929年から並行して作曲が進められ、「左手」が1931年に初演。「ト長調」は1932年に初演。

パリで二人が会ったとすれば1928年だから、1929年にピアノ協奏曲に取りかかったラヴェルは、ガーシュウィンに会った後で作曲したことになる。だから、影響を受けたとすれば、ラヴェルの方なのである。
ラヴェルが「コンチェルト・イン・F」を聴く機会があったかどうかは分からないが、「ラプソディ・イン・ブルー」は聴いていたかも知れないし、ガーシュウィンに会ったとき、彼から「ジャズとクラシック音楽の融合」に関する思いを聞いたかも知れない。しかし、ラヴェルは弟子入りを断った。

そのときの言葉は、知っている人も多いと思うが、概要こんなものだったとのことである。

「私が教えたら、あなたは二流のラヴェルになってしまう。しかし、あなたは既に一流のガーシュウィンだ。二流となるよりも、一流のままでいた方が良い」

ちなみに、同時期にガーシュウィンはストラヴィンスキーにも弟子入りを願っていて、同様に断られている。そのときのストラヴィンスキーとのやりとりは、これも知っている人が多いと思うが、概要こんなことだった。

ストラヴィンスキー「ところで、お前さんの年収は如何ほどになるのかね」
ガーシュウィンが答えると、
ストラヴィンスキー「何?! そんなに稼いでおるのか・・・それならワシの方が弟子入りしたいわい」

まあしかし、パリに行く前に自己流でオーケストレーションしたのが「コンチェルト・イン・F」だと分かると、この曲の、オーケストラが良く鳴ることに、改めて才能の凄さに益々感服するしかない。
そうか、ひょっとすると、ラヴェルに弟子入りを願ったとき、このスコアを見せながら相談した可能性はあるかも。だとすれば、そのスコアに既に十分すぎる才能を読み取り、アドバイスと賞賛を兼ねて上記の言葉となったのかも知れない。

そしてガーシュウィンは、独学のまま研究を続けて独自のスタイルを獲得してゆく。それは同時に、新しいアメリカ音楽の確立ということに繋がってゆく。そして集大成として、既にミュージカルもモノにしていたのだが、「オペラ」として「ポーギーとベス」を世に問うこととなるわけである。初演は1935年。その2年後、39年の生涯を閉じた。

さて、この日は、もう1曲、プレヴィンの弾き振りで、モーツァルトのピアノ協奏曲第24番が放送された。第2楽章と第3楽章のみだったが、ガーシュインの軽めでイキな響きと、モーツァルトの端正な響きと、見事に弾き分けていたのが凄かった。
ジャズピアノとクラシックのピアノの両方で名匠とされる人を指揮者陣に迎えるというのは、こういうことなのか、と思ったものである。

デュトアが音楽監督を辞めてからN響は永い停滞期に入ったと考えているが、少しばかり見える「光」としては、プレヴィンが客演指揮者ではあるが「首席客演指揮者」の称号で迎えられたことであろう。

事実、来年には北米で演奏旅行が計画されていると番組内で紹介していた。そんなことを実行するのは、普通、音楽監督の仕事なのではないかと思うのだが、それだけの発言力や権限を持ってもらっているのかと推察する。

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