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2010年12月 5日 (日)

クラシック倶楽部 N響第1684回定期公演

2010年12月3日(金)のクラシック倶楽部は、N響第1684回定期公演。公演日は2010年10月27日、サントリーホール。サンティ指揮によるオール ベートーヴェンプログラムで、「第8交響曲」、「序曲 レオノーレ 第3番」そして「第5交響曲」の3曲が演奏された。

この中で、第5交響曲の第3楽章から第4楽章にかけては、11月21日のN響アワーで、メンデルスゾーンの「イタリア」全曲の後に放送されている。そのときの記事にも書いたが、サンティのベートーヴェンは中々良い演奏という印象があり、改めてクラシック倶楽部の放送で定期公演当日のプログラムを聴いてみたわけである。

プログラムの曲順は上記の通りで、交響曲2曲の間に序曲を1曲挟んだもので、余り見かけない曲順のはずである。不思議な感じもする曲順だが、軽めの「第8」から始まって、曲を追うごとに重厚さを増してゆく構成だと考えたら良いのだろう。曲を追うごとにオケのメンバーも増強されていったので、多分、そうした狙いがあったと推測してほぼ間違いないだろう。

聴きながら、こうしたオーソドックスなベートーヴェンを余り聴かなくなったように思った。やたらに妙なテンポでやってみたり、必要以上に起伏を大きくしたりするのは勿論、どうしても許せないのは、弦にヴィブラートをかけさせない「ストップ奏法」が増えてきたことである。

どこかに書いた記憶があるが、ベートーヴェンの時代には、確かにヴィブラート奏法で演奏したりはしなかったのだろう。しかし、だからといって現代のオーケストラでヴィブラート奏法をしない、というのは間違っていると思うのだ。

ベートーヴェンは新しいサウンドを求め続けてきた人でもあり、当時新開発されたばかりのピアノが手に入ると、喜んでその性能を最大限に発揮させる曲を書いた。ピアノソナタ「ヴァルトシュタイン」はその好例だ。
また、オーケストレーションにおいても、当時の楽器では制約があって出せなかった音を、あたかも「音が出るなら、このメロディーを吹け」とでも言わんばかりの音を受け持たせたりしている。出版の折には当時の楽器で出せる音で印刷されたが、後年の演奏では、その音が出せる楽器によって、印刷譜とは異なる音を吹かせることも多い。第3交響曲などに例がある。

だから、ヴィブラート奏法についても、もしベートーヴェンの時代にこの奏法が発明されていたら、「こんな手があったのか」と喜んで受け入れたはずだと、私は思うのである。

また、第5交響曲で第4楽章の提示部を繰り返して演奏することも多くなった。提示部に繰り返し記号がついているのは、宇野功芳が指摘したいたことだと記憶するが、レコードも何もない時代、提示部に出てくる主題や旋律を聴衆が覚えやすいようにするために指定されている側面があると考えるべきで、多くの人にとって馴染みとなった曲を現代で演奏する場合は、繰り返しは省略すべきである。

第5交響曲の第4楽章にはそれ以上の意味がある。

第3楽章が不思議な響きで音量を下げてゆき、暗いトンネルに迷い込んだかのごときブリッジ部に入り、最後の方で急激に音量を上げて八長調の輝かしい響きに到達し、それが第4楽章の第1主題になる、という構成を採っている曲なのである。

「運命」などという後世の人(主として日本で称されたものであるらしいが)が付けた愛称を抜きしても、「暗」から「明」への大転換を強く印象づけるのが第4楽章の冒頭である。こんな大転換は1回だけで良い。提示部を繰り返すのは、「大転換」という印象を薄めてしまう。ひいては、曲の価値を損ねてしまう。
そもそも、楽章の途中で、ベートーヴェンは第3楽章の断片を振り返り、もう一度「大転換」の部分が出るように書いているのだ。そしてベートーヴェンが書いた「2度目の大転換」を過ぎてからは、曲の勢いがどんどん増大してゆき、一気呵成に終結部に向かって突き進んでゆく。

第4楽章の提示部を繰り返す演奏で、何度ズッコケたことだろう。

サンティは、そんな繰り返しはしない。
この意味でもサンティの演奏はオーソドックスなものだったし、ベートーヴェンってやっぱりスゴイなあ、という思いに改めて浸ることのできる名演だったと言ってよい。

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