N響 第1681回定期 2010年11月5日(金)放送
BS2でこの日に放送された定期公演は、9月25日にNHKホールで行われたもので、マリナーの指揮。シューマンばかり3曲を取上げたプログラムであった。
このコンサートの一部は10月24日(日)のN響アワーでも放送され、そのときの印象を書いたとき、ゲストがしゃべり過ぎで耳障りだったが、演奏は良かった。とくに「ライン」が良かった、という記事にしていた。
N響アワーで「ライン」は第5楽章だけだったので、まだ「確信」するという段階には至っていなかったのだが、言わば見切り発車的に「名演」だったと書いたのであった。
改めて全曲を通して聴いて、間違いではなかったと思う。これは名演だ。
シューマンの交響曲は無用にオーケストラがぶ厚かったり、同じようなフレーズをしつこく繰り返したりするのが目立ち、辟易することが多い。それはこの「ライン」についても言える。しかし、この日の演奏は、それが必然だったかも知れない、と思わせてくれるだけの説得力があった。
即ち、シューマンは、こういう音を出したかったので、あれだけのぶ厚いオーケストレーションを施したということなのかも知れない、ということである。
朝比奈隆が生前に、何かのシンタビューに応えて、シューマンの交響曲のオーケストレーションに対し、色々と手を加えたりすることがあった風潮を批判して、「シューマンが書いた通りに演奏すべきものだ。その響きこそがシューマンの作風なのだから」と言っていたことがある。
私は朝比奈隆の演奏、とくに晩年のものは全く評価しないが、こうしたコメントの類には中々良い発言があると思っていて、マリナーの演奏を聴き進めながら、まさに「そうか、確かにこれがシューマンの作風なのかも知れない」と感じるようになって行ったのである。
ただ、朝比奈の演奏でこの曲を聴いたことはないのだが、恐らく朝比奈の演奏では、皮肉なことに「そうか、これがシューマンの作風か」と感じることはなかったはずである。
それは、朝比奈だったらやらなかったであろう「テンポや強弱の変化」に関係することでもある。
テンポや強弱の変化についても、マリナーの演奏はかなり適切なものだと思ったし、それによって、この曲が結構面白い曲なのだとも思わせてくれたのである。
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