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2010年11月 3日 (水)

スコラ 坂本龍一 音楽の学校 特別講座(2)

10月24日に始まった特別講座の2回目は、「音で楽しむスコラ バッハ編」と題し、バッハの組曲第3番の「アリア」(俗に云う「G線上のアリア」)やカンタータ147番の「コラール」(俗に言う「主よ、人の望みの喜びよ」)を題材にして、ワークショップに参加した中高生に、独自の編曲をさせて一緒に楽しむという内容だった。

そう、これが「スコラ」なのだ。1回目の、音楽とは直接関係ない部分のトークを中心としたものよりも、今回の方が遙かに優れた内容である。

組曲第3番の「アリア」が、聞き慣れたメロディーだけでは如何に薄っぺらな音楽となるか、それに対旋律がつき、通奏低音がつくことによって、如何に深い内容のものか、ということを東京芸大のアンサンブルで聴かせてみたり、カンタータ147番の「コラール」が、対旋律の存在によってあたかも2つの音楽を同時に聴いているような感覚を味わうことができるか、ということをやって見せたりした。

そのあと、参加した中高生が、自分なりのオリジナルで、別の主旋律や対旋律を付けて見せたのだが、これが実に巧いので驚いた。もちろん、バッハのオリジナルを超えるものが出てくるなどと云うことはなかったが、それなりに面白いものとなった。

また、坂本龍一が、チェロの藤原真理と「マタイ受難曲」の1節を演奏したり、初めてだというチェンバロによって「ゴルトベルク変奏曲」の第32変奏だったかを演奏したりした。これによって、番組の価値をさらに上げることとなった。

さて、上記に、バッハの組曲第3番の「アリア」(俗に云う「G線上のアリア」)とか、カンタータ147番の「コラール」」(俗に云う「主よ、人の望みの喜びよ」)などと云う書き方をした。
番組の中では双方とも「俗に云う」方の名称で進めてしまっていたが、できれば後者は、カンタータとしての正式な名称が「心と口と行いと生きざまは」であるということを紹介して欲しかった。

そして前者は、最近色々な番組でも「G線上のアリア」として紹介されることが多いので今回の番組に限ったことではないのだが、明らかに間違った名前なので、やめてもらいたいと思うばかりである。

組曲第3番の「アリア」はニ長調なのだが、これを八長調に移調すると、ヴァイオリンのG線(一番低い『G』の音の線)だけで弾けるということに気付いた19世紀後半のヴァイオリニストが、そうした編曲を行って自ら演奏したことに由来するものである。これは番組内でも言及していた。

しかし、私は、原曲がニ長調であるのにハ長調に移調したら、2度低い調になってしまうので、別の曲となってしまう。ハ長調で、ヴァイオリンで、G線だけで演奏するのが「G線上のアリア」であって、組曲第3番の「アリア」まで「G線上のアリア」と呼ぶのは、俗称だとしても、かなり低レベルのものだ。

もともと、線1本で弾いてみせるというのは、19世紀の、アクロバティックな演奏をしたいというニーズによる部分も大きいのではないだろうか。

何よりも、音楽的に間違いである。事実、こんなことが広まってしまったのは、かなり最近のことだと記憶する。

さて、番組中にチェロとピアノだけで演奏された「マタイ受難曲」の一節だが、こんな簡素な演奏形態であっても、「マタイ受難曲」が如何に深い内容で心を震わせる力を持った曲であるかを改めて感じ、今さらながら凄いと思った。私はキリスト教徒でも何でもないが、宗教とか宗派など何の関係もなく、音楽として凄いのである。ここは、まだ聴いたことにない人には、是非とも一度で良いから全曲を通して聴いてみることをお薦めする。

このことは、私の「題名のない音楽館」内の「音楽はマタイで終った?」に書いたことがあるので、ご覧ください。

さて、「主よ、人の望みの喜びよ」は、ピアノ編曲版でも親しまれている。

また、ギター版もあるようだ。村治佳織のCDが素晴しい。
バッハの曲は、古典派の曲に比べて「この楽器で演奏しなくてはならない」という縛りが少ないのは事実である。しかし、それでも演奏者や演奏形態によって、音楽性の有無は自ずから問われるわけであって、可成りひどいものも散見するのだが、これはいい。

さて、この「主よ人の望みの喜びよ」は、カンタータ「心と口と行いと生きざまは」の中の第6曲と第10曲のコラールが原曲である。ピアノ編曲版は「さわり」の部分だけをやっていることになるが、原曲全体に中でこれが出てくると如何に凄い効果を上げることとなるかを、これも、まだ聴いたことのない人は是非聴いてみることをお薦めする。

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