名曲探偵アマデウス はげ山の一夜
BS2 2010年10月3日(日)18時~ 放送。
この番組は、クラシック音楽の「楽曲解析」(アナリーゼ)をテーマとした珍しい番組だということを以前書いたが(2010年10月1日「名曲探偵アマデウス って知ってますか)、そのことを通じて、よく知っている曲であっても「ああ、そうだったんだ」と改めて曲の魅力や聴き処を再認識させてくれることも、番組の価値を大きなものとしている。
「はげ山の一夜」なんて、色々と聴き進めてきたクラシックファンであれば、もう余り聴くことはなくなっているのではないだろうか。
しかし、この曲が現代の「ホラー音楽」に通ずるものであるとか、それはカクカクシカジカの音型によるもものだとかいうことを示されると「ああ、確かにそれも言えるなあ」と納得できるものであった。
また、ムソルグスキーが最初に管弦楽曲として発表したときには評判が悪かったが、どうしても世に出したいという意志によってオペラの中で合唱曲として使おうとした、といったエピソードは、必ずしもよく知っていたわけではない。
そして、これは知っている人が多いはずだし私も知っていたことだが、現在よく演奏されているこの曲は、リムスキー・コルサコフがアレンジした版によるものである。
そして、曲の後半の「夜明け」の情景とも言うべき部分は、ムソルグスキーが残した材料をもとにリムスキー・コルサコフが付け加えたもので、その部分が付け加えられたことによって、曲の価値が高まり、よく聴かれるようになってゆくことに繋がっていった、ということは、改めてこの放送で知ったと言ってもよい。
確かに、そう知ってしまえば、「はげ山の一夜」の全体を通じてリムスキー・コルサコフ的な響きがするように思えるし、とくに「夜明け」に相当する部分は、全くリムスキー・コルサコフの作品そのものだと言ってよいみたいだ。であるのに、あくまでもムソルグスキーという1人の作曲家の作品として、不自然な処がなく繋がって聞こえる、というのが、凄いことである。
ムソルグスキーという作曲家は、個人生活は破綻していた無頼の人であった。生前には殆ど名声を得ることもできなかった。
しかし、「はげ山の一夜」ではリムスキー・コルサコフという作曲家に恵まれ、またよく知られているように「展覧会の絵」ではラヴェルという作曲家に恵まれることによって、幅広い聴衆を獲得することができた。考えようによっては、実に幸せな人だったとも言えるだろう。
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