ルイージ指揮 PMFオーケストラ演奏会
2010年10月2日(土)、8月3日にPMFオーケストラの札幌での公演がBS2で放送された。
PMFとはパシフィック・ミュージック・フェスティバルの略で、バーンスタインの提唱により、1990年に札幌で始められた音楽祭。バーンスタインは最初の一年だけで亡くなってしまったが、その後名だたる指揮者があとを継ぎ、現在はルイージが音楽監督を務めている。
大きな目的として、若手の音楽家を、現役の第一線で活動中の演奏者によってレッスンし、次の世代を担う音楽家として育てるということが挙げられる。
PMFオーケストラは、そうしてレッスンを受けた演奏者が「卒業公演」のような位置づけてオケを組み、演奏するもの。
で、この日の公演はショパンのP協2番とブルックナーの7番。指揮はルイード。そして、ピアノはリーズ・ドゥ・ラ・サール。
まあ、ブルックナーはんなものだろうと思った。ノヴァーク版によるものだったので、第2楽章のクライマックスでシンバルが入り・・・私はあの部分は絶対シンバルが必要と思っているので・・・それも適切だと思った。
ところが、余り期待せずに聴いたショパンが凄く良かったのだ。
ショパンのP協は2曲あるが、何れもオーケストレーションがヘタだというのが定評で、ショパンは余りその技法を深めることなく独奏曲をメインとして作曲を続けてゆくことになるのだが、1番はまだしも、2番となると殆どどうしようもなくオーケストラが薄い。それもあってか、1番はしばしば演奏会の曲目に載るが、2番はかなり頻度が少ないのではないだろうか。
それでも2番は、素晴しい第2楽章が存在していて、それだけで十分に存在価値があると考えている。ただ、第2楽章のあの素晴しいメロディーを含め、「これ」という演奏に中々行き当たらないのだ。
リーズ・ドゥ・ラ・サールというピアニストは初めて知った。ステージに登場したとき、「あ、可愛い!」と思い、第1楽章を弾き始めたとき「おっ」と思い、進むにつれて「これは!」と身を乗り出してしまった。
第1楽章の開始部分の、少し鋭い感じの音。第2楽章のメロディーの扱い。装飾音の繊細な音色。そう、「これ」という演奏に行き当たったのだ。
これまで私は、「まあ、この辺りか」と考えてアルゲリッチ盤をベストに近いものとしてきた。(「題名のない音楽館」の「アルゲリッチのショパン」)
しかし、この曲は何よりもショパンにとっての「青春の曲」であり「失恋の曲」である。若い人の感性によって弾かれる方が、より良いとも言える。美貌と演奏技術の両方を備えた、恵まれたピアニストだ。
PMFの第1回目のとき、バーンスタインがオケを指導していた脇に何人かの日本人が弟子として、またアシスタントとしてついていて、彼らにも色々と指導をしていた。その状況は、何の番組だったか忘れたし当時はVTRも持っていなかったので録画も残せていないのだが、アシスタントとしてついていた中に、佐渡裕の姿もあったはずだ。
この稿を書くため色々と調べているうちに、同じメンバーによる同じ曲目で、大阪公演が行われていたことを知った。いや、思い出した。案内のパンフレットは来ていたので。
この2曲の組み合わせに、いまひとつ乗り気になれなかったため行かなかったのである。しかし、ショパンがこんなに良かったのであれば、またリーズ・ドゥ・ラ・サールを知っていたら、行ったはずだった。
その点では悔しい思いもした。
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