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2010年10月29日 (金)

題名のない音楽会 2010年10月24日 続き

(前稿から続く)

この日の番組で、ツィターを使った、よく知られている曲として「第3の男」だけを取上げるのは不満で、私としては、クラシック寄りの番組ということからして、ヨハン・シュトラウスの「ウィーンの森の物語」を取上げるべきだった、と書いた。但し、最近はツィター独奏と指示されている部分をヴァイオリンで演奏することが多く、それによって音楽を壊しているとも評した。

他のウィンナワルツと同様に、私が「ウィーンの森の物語」を最初に聴いたのはクラシック音楽を聴き始めて間もない頃であり、随分昔のことである。
しかし、この曲は何時まで経ってもよく分からず、好きになることもなかった。

それが、ある時、ツィター独奏が完全に入っている形で聴く機会があり、それによって一遍に好きになった。大好きになったと言ってもよい。他のヨハン・シュトラウスのワルツに比べても大きな価値を持つ曲だとも思うようにもなった。ひょっとするとベストの曲かも知れない。

そのように私の中で評価を一変させるきっかけを作ったのが、クナッパーツブッシュの盤である。全体は、一言で言うと実にネバッこい演奏である。ウィンナワルツ独特の、「均等には刻まれない3拍子」も、今聴くと少しオーバーなのではないかと思う向きもあるかも知れない。
しかし、これが本来の姿なのではないか。
そして、ツィターのソロが入ることによって、この曲の本来の魅力が引き出されているのが、何よりも素晴しい処である。

もう1枚、クレメンス・クラウスの演奏を挙げておく。モノラルで音も良くないが、クナッパーツブッシュの演奏が下品だと感じるのであれば、この方がいいかも知れない。

考えてみれば、こうした、ツィターのソロがちゃんと入った演奏が余り行われなくなったため、この日の番組で誰もこの曲を例として挙げなかったのかも知れない。まあ、そうであれば、悲しいことではあるが、ツィターのソロが入った演奏は、「楽器の絶滅危惧種」ならぬ、「演奏形態の絶滅危惧種」ということになってしまう。

さて、もう一点だけこの日の内容で感じたことを挙げる。見たこともない楽器である「セルパン」に関してである。

「教会で使われていた」ということが紹介され、「セルパンによって怒りの日」が演奏され、「ベルリオーズが、『幻想交響曲』で最初は、この楽器を指定していた」という話があった。「幻想」の最終楽章で、奇怪なテーマが色々と出てくる中、だめ押しに近い感じで出てくる部分を指す。

手元の総譜を確認すると、129小節めから、ファゴットと2台のチューバで出てくる。セルパンという楽器の指示はないが、出版前にベルリオーズが変更したのか、原版にあったものがポケットスコアで削除されたのかは分からない。

で、ここからは半分私の想像になるのだが、教会に置かれていて「怒りの日」が演奏されることもあったので、ベルリオーズはこれをセルパンという楽器ごと取り込むことを思いついたのではないだろうか。ただ、余りにも音程が不安定で取扱いも難しいことから、彼自身の意志によるものか、演奏する上での都合によるものかは不明だが、チューバに変更された、ということではなかっただろうか。

ちなみにこの「怒りの日」の部分は、134小節めから、鐘の音と一緒になり、2回目からは縮小カノン(音の長さを短くして同じメロディーを奏すること)となり、縮小が縮小を呼び、厳粛な「怒りの日」が、遂には戯画的な音にまで成り下がってしまい、「怒りの日」までが奇怪な音楽を構成する要素となって行くのである。

「怒りの日」を交響曲の終楽章に持ち込み、さらにはそれを、とんでもない扱い方で処理してみせる、というのはベルリオーズでないとできないことだっただろう。それによって、後世にまで残り、よく演奏されるレパートリーとしては、ベルリオーズの名はこの「幻想」1曲だけでも十分、というほどの作品となったわけである。

「幻想」の私のベスト盤はミュンシュ指揮によるものである。
パリ管弦楽団盤と2通りあるが、私はボストン交響曲との演奏の方をより高く評価している。

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