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2010年10月13日 (水)

題名のない音楽会 2010年10月10日 ユンディ・リ

ユンディ・リは、2000年に開催されたショパン国際ピアノコンクールで優勝して以来、日本にも度々訪れていて、人気も高い。この題名のない音楽会にもしばしば登場している。

しかし、私は彼の演奏をいいと思ったことは一度もない。

この日も、「お得意のレパートリー」としてショパンを演奏した。「まあ、これはこういう曲ですわなあ」といった感想しか思い浮かばない。不満を覚えながら、何かが足りない、何が足りないのか、とずっと考えていた。

で、最後に取上げたのが「華麗なる大ポロネーズ」であった。ユンディ・リがコンクールで弾いた曲で喝采を浴びたそうだが、私は、ショパンのポロネーズの中で最も中味のない曲だと思っており、それを取上げたことによって、また番組の中でずっと「ショパンは繊細さと情熱的な部分のバランスが取れている」という発言があったのを通じて、何が足りないのか分かったのである。

ショパンを「繊細さと情熱的な部分のバランス」と捉えているだけでは、本質に迫ったことにはならない。
むしろ「繊細さと情熱的な部分がゴッタ混ぜになっている」曲が多いとすべきだ。それはしばしば「バランス」ではなく「情熱」の勝ったものとなり、破綻寸前の処まで進んでゆく。そしてその「情熱」は、しばしば暗く、深い悲しみに堕ちてゆくものであって、聴く者をたじろがせずにはおかない力を備えている。

だから同じポロネーズであれば、せめて第7番変イ長調Op.61「幻想」か、もっと暗い情熱がほとばしる第5番嬰へ短調Op.44で勝負すべきなのである。ポリーニが若い頃に録音したものを聴いてみたらいい。これは、ポリーニがショパンコンクールで優勝したあと暫く演奏活動を休み、再開した直後の録音だったと思う。20代の演奏。

さて、「華麗なる大ポロネーズ」だが、この日はオーケストラ付きのバージョンで演奏された。この曲は、多分オーケストラのパートが余りにも貧弱だからだろうが、オーケストラの部分の一部を独奏ピアノに取り込んでピアノ独奏で演奏されることが殆どで、しかも「アンダンテ・スピアナート」の部分を前に付けて続けて「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」として演奏されることが多い。

ショパンのCDはかなり持っているが、私のコレクションの中でも、オーケカトラ付きで演奏されているのはフランソワ盤だけである(現在入手できる新品がオケ付きかどうかは確認できていない)。
だから珍しいものを取上げたという点では敬意を表する、ということは付け加えておきたい。

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