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2009年5月26日 (火)

「指環」を続けて演奏する編曲版なんて要らない(3)

LPレコードからCDになったとき、音がクリアになったとか、高音が20kHzまでしか出ないという前提で妥協した技術によるものだから「音楽」として何か重要なものがカットされてしまうのではないか、いやそれで十分なのだとか、色々と論議されたものだ。

大きさ(直径)が30cmから12cmになり持ち運びがしやすくなったことも大きなメリットだと言われた。1枚あたりの収録時間が多くなり、組み物の枚数も少なくなった。「指環」を例に挙げると、全曲盤のCDで13枚程度である。厚さ10mmの標準ケースに1枚ずつ入れても全曲で13cm。実際には2枚用ケースや3枚用ケースも併用されるので厚みはもう少し薄くなるが、13cmとしても、縦12cm×横12cm×厚さ13cmという大きさは、店で全曲をドン!と買って持ち帰るにしても困るほどの大きさではない。これによって、CDの買い方が変った。

また、クラシック音楽の聴き方が変ったことも挙げておかねばならない。
変った点をさらに二分すると

①途中で裏返す必要がなくなった曲が多くなり、じっくりと聴くことができるようになった。
発売当初のCDの収録時間が片面74分と決まったのは、カラヤンが「ベートーヴェンの第9を通して聴けるようにするには74分必要」とソニーに言ったことによる、という有名な話がある。指揮者によっては「第9」が74分で収まらない場合があるのは当然だが、少なくともカラヤンによるベートーヴェンの交響曲は、片面で全部収まることとなった。その後次第に収録できる時間も増え、カラヤンに限らず、またベートーヴェンに限らず、また交響曲に限らず、たいていの曲は片面に収まるようになり、裏返さずにジックリ聴くことができるようになった。

②①と相反することだが、飛ばし聴き(ザッピング)や部分聴きが容易になった。
交響曲などの一部の楽章だけ聴くとか、オペラの中の或るアリアだけ聴くとか、飛ばし飛ばし聴くというニーズはLPの時代からあったと思うが、実際にやろうとすると大変だった。曲間の溝にうまく針を降ろしたり、上げたりすることを繰り返さねばならない。慎重にやらないとレコードと針を傷めてしまう。

LPレコードの時代、これらを解決するために自動両面演奏プレーヤーとか、自動的に曲間の溝を検知して飛ばし演奏をするプレーヤーなども実用化されたが、音の良いものはなく、主流にはならなかった。CDになってようやく、①と②の両方が一度にクリアされたわけである。交響曲に限らず、オペラに限らず、長い曲を全曲ジックリ聴くのもよいし、一部だけを聴いてもいい。長い曲をジックリ聴く場合も、疲れたら途中で一休みしてもいい。大体の操作がボタン1~2個で容易にできるのだから。

「指環」を全曲通して聴くとして(そんなことはしないだろうけど)、CDで13枚。単純かつ大雑把に言うと、プレーヤーの処に行くまは13回で済む。LPだと裏返しに行くので、同じ枚数だとしても、単純かつ大雑把に言って26回。実際には枚数はもっと多かったはずで、この差は大きい。収録時間が多く裏返す必要もなくなると、途中で曲の流れを損なうことも少なくなる。ジックリ聴くのに適している。逆にザッピングも容易だ。他のオペラなども然りである。

それでもザッピングは面倒なことが多いので、「これぞ!」という曲がセレクトされた「ハイライト盤」が出ていたら購入することになる。そして実際には全曲盤よりもハイライト盤を手にとることの方が多くなるのである。このように、全曲盤・ハイライト盤の両方を持って使い分けるようにしているのは私だけではないと思うのだが。

そして、良いハイライト盤を聴いている以上は、あんな編曲版なんて要らない。しかもそれを音楽的に誤っている短縮版で演奏して欲しくなかった。誰に聴かせたいのか企画意図も分からない。時間の制約があったのであれば、全曲または「ヴァルキューレ」からの単純な抜粋で良かった。

ところで、私のお薦めは全曲盤・ハイライト盤の何れもショルティ指揮ウィーンフィル盤(1959年~1966年録音)。「指環」を初めてスタジオで全曲録音したのがショルティで、そのときの盤なのだが、今でも全く古さを感じさせない超名演だ。DVDは全曲盤しかないし大分落ちるが、オーソドックスな演出で、レヴァイン指揮ニューヨーク・メト。

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