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2015年1月30日 (金)

海賊とよばれた男 (上)(下)

(百田尚樹著。講談社。(上)2012年7月11日第1刷。2013年4月30日第23刷。 (下)第1刷同上。2013年4月26日第22刷。 お薦め度 何れも 5)

出光興産という会社には、昔から関心があった。と言うか、リスペクトしてきていた。

大きな要因は、「題名のない音楽会」の単独スポンサーを、1964年の番組開始時から一貫して続けてきいる点である。別ページ「ミニ音楽評」でも度々取りあげているように、私がずっと見続けていて(武田鉄矢時代は全く見ず、羽田健太郎時代は飛び飛びだったが)、こうした番組を民放で続けて行っているという姿勢に感嘆し、また時折現在でも触発される、音楽に関する知的な悦びを喚起する番組として、大切に思っている。

もう一点、永らく非上場で、かつ海外の会社と殆ど提携することなく、独立した立場を続けてきていることである。学生時代にアルバイトで石油業界の市況を纏める仕事をしたことがあり、調べて行く中でそのことを改めて知った。

このため、出光興産の創業者の一代記として宣伝されたこの本が出たとき、迷わずすぐに手許に取り寄せた。2013年の本屋大賞をとったということもあるが、何回か「本屋大賞」の看板につられて失望した経験もあるので、出光興産の創業者の話でなければ読まずにいたかも知れない。

ストーリーを追って紹介するのは控えるが、とにかく痛快。とくに、下巻で戦後のことに話が及んで行くと、面白くてやめられなくなった。一つ前の記事で取りあげた「尖閣問題」では読後怒りに震えて眠れなかったのだが、本書は読後も暫く興奮冷めやらず眠れなかった。
とにかくこの著者はストーリー運びが巧い。

上岡龍太郎が司会だった時分によく見ていた「探偵ナイトスクープ」だったということもあって親しみもあったし、佐渡時代になったからの「題名のない音楽会」にも出たことがあり、中々の見識も披露していて、益々親しみを感じた。

だから、本ブログで久々に「常推薦」とすべき本に出会ったナ・・・と思っていたほどである。
あの一件がなければ。

あの一件とは、都知事選に立候補した田母神の応援に回った件である。
よりによって田母神はないでしょ。あの人は極右だよ。東京裁判を否定し、日中戦争を侵略でないとし、太平洋戦争(こうした人たちは必ず「大東亜戦争」と称したがる)も防衛戦だと言う。私はこうした考え方をする人には全く賛同できない。安倍首相もそうしたことを匂わせる考え方で、田母神と同じ価値観のようだから危険なのだが・・・。

というわけで、もうこの著者の作品を読む気は失せた。
しかし、作品の面白さは捨て難い。従って、お薦め度は2冊とも 5 とし、リンクも付けておく。ただ、既に文庫化されていて原本は入手しにくいようなので、文庫の第1巻のみリンクしておく。

余談だか、リンクを貼るついでに読者レビューを見たら、随分酷評されているようだ。ひょっとしてあの一件がなかったら、また大阪でなく東京を中心に活動してきた人だったら、もう少しマシなレビューとなったかも。

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