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2010年11月22日 (月)

五珠のそろばん(2)

(前稿から続く)

数字の表記の仕方として、十進法というものがある。言うまでもなく、十になったとき位というか、桁というかをひとつ増やして記載する方法である。

十進法でアラビア数字の「9」の次は、位をひとつ増やして「10」と書く。これはアラビア数字とともにヨーロッパに持ち込まれた。「0」という概念と表記は、それよりも前にインドからアラビア文化圏に持ち込まれていた。
この「○○進法」による表記が、どれだけ数学や物理などの計算を分かりやすくして、その後の発展にも大きく寄与してきたかは、言うまでもないことである。

そして、人工的には「○○」にどんな数字を入れても体系として成り立つが、コンピュータの類ではスイッチの1個1個のオン/オフと対応させるのに適しているため、2進法が多用されることとなった。2進法というのは「2になったら位が一つ増える」のだから、10進法の「2」は「10」と表記される。

ところで、この十進法の起源について、しばしば「手の指の数が10本だから」と簡単に説明されることが多い。十進法が当たり前のように使われている時代に生きているのでついそう思ってしまっている節があるが、それは間違いなのではないだろうか。

例えば英語における表記ないし読み方である。最初に英語を習ったとき、1から10まで順にone,two,threeと数えていってtenの次の「11」が、ten-oneでもなくone-tenでもなく、elevenとなることを知って戸惑ったという記憶はないだろうか。

「12」も然りである。ten-twoでもなくteo-tenでもなくtwelveである。ところが、この調子で新しい単語を覚えないといけないのかと思っていると、次の「13」はthirteenだと言う。これは「11」や「12」の例で挙げた書き方で言うthree-tenと同じものであり、少し表記が変っただけだから、比較的覚えやすい。そして、fourteen,fifteenと同じような構造の表記が続き、「20」に至るわけである。「20」は言うまでもなく、twenty。で、「21」以降はtwenty-one など、比較的分かりやすい表記となる。

これって、十進法だろうか? 違うのではないだろうか。

「12」までの数え方がone-ten またはone-teenとならないのは、十進法ではなく「12進法」と解すべきだろう。

「12進法」の起源は良く分からないが、東洋で「十二支」、キリスト教でイエスの直弟子を「十二使途」としているように、何か観念的なものに由来するのかと思われる。それも、偶々(たまたま)1年の日数を月の満ち欠けの回数で割ってみる「12」とするのが最も近似した値になり便利だった・・・ということがモトだったかも知れない。

で、「13」以降は分かりやすい呼称、分かりやすい読み方になるので、十進法またはそれに近いものとなる。従って、英語における数の読み方は、「12進法の名残がある十進法」とでも称すべきものなのだと考える。

別の観点から考えてみたい。「手や足の指の数に由来する」のであれば、10または20まではそのまま数えることができるのだから、桁とか位を増やす必要はないはずである。

だから、現在主としてアラビア数字の表記で「十進法」と呼んでいるのは、手や足の指の数に由来しているものではなく、極めて人工的な表記方法と考えるべきなのである。本当は「十進法」と称すること自体、ひょっとすると考え直して見るべきものなのかも知れないが、「十進法」という呼称が一般的である現在、そんなことは誰もやらないし現実的でないので、従来通りこれを「十進法」と称することとしておく。

そうすると、現在の「十進法むではなく、本来の、手の指の数に基づいた表記法または読み方は、「十一進法」とでも称する他ない。

そして、そんな例は身近な処に現存するのである。

(この稿さらに続く)

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